白川稚蚕共同飼育所を見たあと、箕郷町を経由して帰宅したのだが、友人が上芝の水車を見たことがないというので、やや暗くなっていたが立ち寄ることにした。
上芝の共同水車は、群馬県の保存水車としては確実に五指に入るであろう秀でた物件である。
ただし、改修というか、復元というか、かなり綺麗に作り直されていて、私の好みとはちょっと違う。
建築史を研究している先生方の言う「復元」は、時計の針を逆に回すことであるから、その建物が経てきた「改良」や「歴史」をリセットすることになってしまう。私は、水輪が鉄製になってようが、屋根がトタン波板葺になっていようが、あるがままに時を経た姿の建物のほうが好きなので、この水車のように茅葺きなどに復元されてしまうと、「つまらないものになったな」と思ってしまう。
ただし、この水車小屋については、元々の立地にあり、水路の利用については本来の姿なので見どころは多いと思う。
水輪への水の掛け方は下掛け。パワフルに回転している。
非常に水量の豊かな川である。しかも、これは本流の流れではなく、堰から引き込んだ水車用の支流なのである。
内部は普段はガラス越しに見るだけだが、見学を申し込めばカギをあけてもらえる。だがこの水車、もう何度も訪れているのだが、いつも暗くなってからばかりで、見学できるような時間に来たことがないのはなにか因縁でもあるのだろうか。
臼は、搗き臼が4個×2列、それにひき臼。ひき臼には、原料を自動投入する仕掛もあるようだった。
水路の取水部。
水車から30mほど上流にある。堰で取水して支流を作っている。
水路の排水部。
この用水にはかつてはたくさんの水車があったことだろう。
(2010年01月10日訪問)