北下第1稚蚕共同飼育所。
これまでに見た飼育所とちょっと感じが違う。
屋根に換気塔がなく高窓もない。だとすると、これまで見てきた中ではパターンでは、室を使わない大部屋方式の飼育所が考えられるのだが、大部屋方式で見られるような壁面の換気扇も見当たらない。
敷地内にスチール製の蚕箔がころがっているし、開口部の感じからも、ここが稚蚕飼育所だったのは間違いないと思うのだが、どういう形式だったのか想像しにくい。
ガラス窓は汚れていて中がはっきりと見えなかったが、内部は広い部屋になっていて、ブロックの室らしきものは見えなかった。
軒が低いのも特徴だ。
ブロック電床や土室のような固定式のムロを使う方式をひっくるめて「群馬式」ともいう。稚蚕飼育には群馬式以外の方式もあり、室内に積み重ねた箱の中で稚蚕飼育する「天竜式」という方式があるらしいのだが、そういった方式だったのかと妄想してしまった。
壁面は軽石ブロックのやり違い積みで、打ち放しなのがちょっとおしゃれ。目地などを見ると、それほど上手な施工ではないのだが。
北側には別の部屋が接続している。これまでのパターンなら、地上の貯桑室ではないかと疑うところだが、桑の搬入の動線がないため、貯桑室とも断定できない。
とにかくこれまで見てきた稚蚕飼育所の文法から外れた建物だった。
(2008年05月01日訪問)