小金久保の集乳所を見学したとき、すぐ近くにお堂が見えた。せっかく車から下りたので、このお堂にも立ち寄ることにした。
お堂の周囲には桑畑が目立つ。
集乳所のオーナーのおじさんによれば、このお堂の裏手には年中枯れることのない湧水があるという。
このフタがある場所の下に桝が埋めてあるのだろう。すぐ近くからは川が始まっている。この小金久保という場所は台地で、湧水の水がどこから来るのかまったく不思議としか言いようがないのだが、ここから南の200~300mくらいの土地がここよりわずかに高いため、小金久保では水に困らないのだと言う。
お堂のほうへ行ってみる。
お堂の前は未舗装の農道で、舗装道路が整備される以前にはここがメインの通りだったのではないかと思われた。周囲が桑畑ということもあり、西上州の歴史を感じさせる風情のある道だ。
短い石段を登ると、そこは墓地になっていて、お堂は西面していた。
屋根のてっぺんの露盤(宝珠の下の箱みたいな部分)が高く、擬宝珠みたいな宝珠が載っているところが、垢抜けない感じだ。後補のものかもしれない。
建物の意匠はちゃんとした唐様。軒は扇垂木になっていた。
年代は江戸後期だろう。
地蔵格子の穴から内部をのぞいてみると、立派な須弥壇があり、不動明王が祀られていた。
全体的にみて、かなり気合いを入れて建てられた堂と言っていい。
珍しい形の水盤があった。
(2012年12月24日訪問)