サイトではあまり書いていないが、実は私はけっこう温泉好きだ。磯部温泉は以前にある旅館を利用したことがあって、浴槽が白湯(=ただのお湯)だったので、温泉街自体にあまりよい印象をもっていなかった。また市営の公衆浴場「恵みの湯」は泉質はまずまずだがお湯が熱く、閉館時間が早いため、あまり利用していない。
そんなことだから、これまで磯部温泉にはあまり積極的に出かけてみようと思ったことはなかった。街を散策するのは今回が初めてである。
群馬県内には温泉地が多く、県民でも県内の温泉地に保養に行くこともある。でもそこで磯部温泉が候補に上がることはあまりないというのが実情ではないだろうか。近くにこれといった観光地もないので、軽井沢などへ向かう客の中継ぎや、泊まりがけのゴルフなどで利用するイメージだ。
聞くところでは、磯部温泉の全盛期は昭和時代でコンパニオンなどのお色気サービスや裏風俗が最大の特長だったともいう。現代でもおそらくそういう遊びはできるのではないかと思う。噂ではコンパニオンの養成所があるともいわれ、コンパニオンは磯部温泉のもうひとつの顔である。
そうした裏風俗はホテル内で済んでしまうし、通りには射的やスマートボールなどの温泉街独特の遊びもないため、宿泊者も街を歩くことはほとんどないであろう。
なので今回は路地裏も歩いてみた。
渡り廊下のある路地。
右手のレンガ造りの建物は浴室なのだろう。
街の中心にある足湯。
これは比較的最近できた施設だ。
以前に利用した旅館の悪いイメージもあったので、どうせただのお湯だろうと思っていたが、泉質はかなり濃いナトリウム泉だった。恵みの湯よりもはるかに濃いし、これなら悪くない。
磯部温泉って、実はかなり成分の濃い鉱泉なのか。
足湯は最近では温泉ではない道の駅などにも併設されることもあるが、循環なので利用者が多いときなど不潔な感じがしてあまり好きではない。またその裏返しなのだろうが、殺菌のためどうしてもカルキ臭くなってしまう。
温泉街の付帯施設で最高なのは「飲泉所」だと思う。飲泉所では、飲泉してお腹を壊す客などもいるはずで、運営するには勇気もいるだろう。それゆえに飲泉所のある温泉地は、お湯との向き合い方の真剣度が違い、信用していいと思えるのだ。
磯部温泉内には、アーチ看板がいくつかある。
この奥には「桜や作右衛門」という旅館がある。案内図では、「はやし屋」と書かれている旅館の名前が変わったのだと思う。
メインストリート。
名物の鉱泉煎餅「磯部煎餅」を製造販売するお店が並ぶ。
いい感じの八百屋。
いい感じのしもた屋。
看板はかすれて読めないが、「大衆酒場坂㐂」と書いてあるようだ。
いい感じのしもた屋。
たぶんもと薬局。
左のアーチ看板は、「いらっしゃいませ」、「見晴館」、「旭館」と書かれている。灯のともるアーチ看板はいいなあ。
足湯は右の道にある。
日が落ちて、あたりが夜の帳につつまれるとき、この場所は磯部温泉のベストビューポイントとなる。
駅のほうへ歩いてみた。
駅前にはラーメン屋や生そば屋などがある。温泉街のラーメン屋って、めったに入ったことがないのだが、切ないような旅情を感じさせる重要なアイテムなので、いつまでも続いてほしい。
駅前にもアーチ看板がある。
JR磯部駅。
駅から温泉街まではすぐ。目安としては、碓氷川南岸の旅館は徒歩、北岸の旅館はタクシー利用がいいように思う。
(2013年08月25日訪問)