宮原稚蚕共同飼育所

薬品室という名前のついた部屋がある。

(群馬県安中市中秋間)

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宮原稚蚕共同飼育所。別名、秋間十四区稚蚕共同飼育所。

地図の表記では、「内川メリヤス製造所」となっているが、看板も出ていないし営業している雰囲気はない。

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宿直室は改装されていて、会社の事務所かあるいは、住宅になっているようだ。

形式は赤城南面によくあるタイプ。高窓が3つなので内部はブロック電床育の室が片側3室、合計6室だったのではないかと思う。

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地下室への入口は比較的背が高く、桑の投込口というよりは人が歩いて中に入れたのではないだろうか。

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裏側に回ってみる。

飼育室はきっと工場に改造されているのだろう。

側面に広い出入口があるが、これは後補ではなく、本来の配蚕口もここだったのではないかと思う。

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軒下には白衣をかけた長押が残っている。稚蚕飼育所に出勤した農家の人はここで、白衣を着て、長靴に履き替えて飼育室に入ったのだろう。

奥には「薬品室」と書かれた扉がある。

稚蚕は病気に弱く、同じ場所で年に何回も飼育するのでさまざまな薬品で消毒しなければならない。飼育前に室はホルマリンを吹きつけ室内全体を燻蒸消毒する。また、飼育中には幼虫に直接振りかける粉状の薬も使用した。

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消毒槽では飼育が始まるまえに用具を消毒した。蚕箔(四角い竹の籠)がそのまま洗えるサイズに作られている。

いまはゴミ焼き場になっている。

(2008年05月02日訪問)