秋間丘陵の養蚕農家。
午前中に観音山丘陵で見てきた養蚕農家と基本的には似た傾向だ。すなわち、切妻屋根で、棟飾りや妻飾りなどは控えめで軽快な感じ。
これは小俣付近で見かけた農家。気抜きはフタがされてる。
相水で見かけた農家。
いまは人が住んでおらず、物置きのように使われていたがまだ状態はいい。
こんな農家を安く買えないかなあ、と、ときどき思うことがある。
上後閑で見かけた農家。
桁行10間×梁行5間で、養蚕農家の母屋としては最大級の仕様。
外見は2階建てだが、内部は3階にも飼育室があるのではないかと思われる。
中後閑で見かけた農家。
気抜きは控えめ。観音山丘陵でも考察したが、これは囲炉裏の煙出しではないか。
中後閑で見かけた養蚕関連施設。
「昭和48年度 中後閑西部養蚕主産地 集団営農推進事業実施組合 堆肥舎3号舎14区」の表記がある。
他の稚蚕飼育所の年代判定の指標になりそうなので記録しておく。集団営農のパイロット事業の遺構だろう。
集団営農は黒字運営のときは良いが、一度傾くと確執も生じやすいだろう。1軒の農家なら続けられる養蚕も、かえって存続しにくくなるように思うのだが。
中後閑で見かけた農家。
これも大きい。背後の里山の緑と漆喰の白のコントラストが美しい。立派な母屋だ。
気抜きは、もはや「煙出し櫓」あるいは、「ウダツ櫓」と呼べるレベルだ。
つまり商家が「ウダツ」で贅を競ったように、農家にとってのステータスシンボルが「煙出し櫓」だったわけだ。
上後閑で見かけた農家。
これもすごい。梁の小口を白く塗った出梁造りの豪農。
妻飾りは束と貫を細かく格子状にした装飾、そしてなによりも、漆喰で作られた煙出し櫓が、まるで城を見ているようだ。
この日見た、最も豪華な煙出し櫓だ。ほれぼれとしてしまう。
よく見ると、妻の部分に窓があるので、内部は完全に3階建てなのだろう。
土塩で見かけた農家。
出梁造りの母屋の横に蚕室が連結した作り。
秋間丘陵の農家は、基本的な造りは観音山丘陵と似ているが、煙出し櫓に贅を凝らした農家が何軒か目に付いたのが印象的だった。
また地図を見ると、分け入ってみたいと思えるような谷がまだたくさんある。いずれ農家巡りですべての字を訪れてみたい場所だった。
(2008年05月02日訪問)