先ほど訪れた中沢から一つ尾根を越えた北側の谷が蚊沼だ。同じ谷地でも、水田が多い印象の中沢と違って、斜面がきつく畑地が多い。谷ひとつでこんなに風景が違うものなのだろうか。
飼育所は道に面していて、わかりやすい場所にあった。
この飼育所も側面がぶち抜かれていて、農具倉庫になっているようだった。
単にぶち抜いてあるだけでなく、小屋組みや屋根瓦までまるでノコギリで切ったように切れ込みが入っている。建物の右半分は宿直室などがある場所で、改装すれば離れの住居として使えそうなので、右半分だけを残して飼育室は取り壊すつもりだったのだろう。それが何らかの理由で中止され、切れ込みが入ったままになってしまったのではないか。
飼育室は、土室電床育の室が片側9室の合計18室だったようだ。いまは片側6室分が残っている。
小屋組みは和小屋なのだが、「方づえ」という斜めのつっかい棒が多用されているため、まるで45度の斜度のトラスのように見えてしまう。個性的な造りだ。
外には消毒槽が残っている。
建物の裏側からみたところ。
おそらくこちら側には地下室もあるのだろう。
周囲はコンニャクやネギ畑が目立ち、桑畑は見当たらなかった。
下仁田方面全般に言えることだが、コンニャクとネギというブランド作物への転作がうまくいったためか、桑畑や現役の養蚕農家が見当たらない。
集落のところどころに「クマ出没注意」の立て札があった。群馬県の県西で、クマが出る限界がこのあたりなのだろう。
学校から帰るところなのだろうか、高校生が自転車を立ち漕ぎして急な坂道を登っていた。
(2008年06月28日訪問)