柳原の堤という崖線の上に、広瀬川という大きな用水が流れている。
その堤の上には狭い道があって、私は子供のころこの道が好きだった。夏の朝、カブトムシやクワガタムシを捕るために敷島公園付近の雑木林へ自転車で向かうとき、かならずこの道を通る習慣があった。
柳原の堤には水門があって、前橋市街地方面の広瀬川の水位を調節している。
それと同時に、余剰の水は利根川に落として発電もしているのだ。
広瀬川の水位を調節するための大きなマス。
子供のころここを眺めるのがとても怖かった。薄いコンクリの壁を隔てて大量の水がある様子は、たとえ安全な道路から眺めていても、なぜか不安になる。
知り合いにダム恐怖症の人がいるが、その気持ちは少しわからないでもないのだ。
大きな水門は利根川に水を落とすためのものだ。
柳原発電所の全景。
市のホームページによれば、昭和42年に運転を開始。最大出力は 7,500KWとのこと。
発電所の排水路。
かなりの勢いで水が流れることもあり、水路の深さもあって、ここも私には怖い場所である。市民が落ちたりしないように水路の柵も高くなっている。
実はこの写真を撮るため、柵のすき間からカメラを差し入れたはずみに、レンズキャップが水面に落ちてしまった。用水の怖さは、本能的なものではなくて、カメラや車のキーを落としたらというような想像に起因する後天的なものではないかと思っている。
(2013年01月20日訪問)