風呂川は前橋市の市街地を南北に流れている用水である。起点は敷島浄水場付近。そこから観民稲荷東、児童遊園地北、県庁東、桃井小北、前橋女子高東、盲学校西を通り、六供清掃工場の北で利根川にそそいている。
風呂川の名は、前橋城の風呂に使われたからだと言われる。
前橋市内にはこうした用水が何本かあり、それらに沿って製糸工場、撚糸工場、染工場があった。用水は工場で使う水や動力をまかなう工業都市のインフラだったのだ。また、下流域では精米や製粉のための水車小屋もたくさんあった。昭和の地形図を見ると、風呂川には水車の記号が連なっているのを読み取ることができる。
その風呂川の全域を見たとき、この岩神町1丁目の付近は特に風情のある場所だ。
岩神町は迷路のような古い町並を残した旧繊維産業地帯である。
岩神町を西端として東部環状線の内側(つまり、昭和町、平和町、国領町、住吉町、若宮町、日吉町、城東町、三河町、朝日町)が今回の製糸工場探しのターゲットとなるエリアだ。
これは風呂川の水位を調節するマスではないか。オーバーフローした水は、すぐ横を流れる広瀬川に排水される。
このあたりでは、風呂川が崖線の一番高い場所を流れている。このあたりの崖を「柳原の堤」という。
近くには細い階段の路地や急坂があったりする。平坦な地形が多い前橋市の中でめずらしく坂の風景が見られる場所だ。
(2013年01月20日訪問)