六角形平面の納屋のような建物で、一見して何であるかがわからない。真っ先に思い浮かんだのは、香川県にある「砂糖しめ小屋」だ。円形平面の建築で内部で牛が臼を回すようになっているという特殊な納屋である。だが前橋でサトウキビが作られていたという話も聞かないのですぐに却下。
次に思い浮かんだのは、牛に運動させるための「回転駒つなぎ(?)」。
参考写真は伊勢崎市で見かけたもの。
これに屋根がついたものではないか?
だが、建物の中止にシャフトが設置されていた様子もない。
立ち去ろうとしたら近所の人がいたので訊いてみた。
どうやらこれはもと豚舎で、給餌などの作業をやりやすくするように農家で工夫したものなのだという。
これはこの農家が考えた一点ものの建築なのか、養豚業界で考案されて消えたあだ花だったのか、興味は尽きない。
糞尿は排水路に集まるようになっていたという。
これは本サイトで初めて養豚施設である。まだまだ世の中には知らないものがあるものだ。
近くのかしぐねのある路地。
二階建ての養蚕農家を見かけた。こうした建物は1階に雨が当たらないように、出梁造りで二階の軒を深くしている例が多い。だがこの家では、1階に小屋根の庇を出して雨を防ぐ設計になっている。
養蚕農家では二階で蚕に繭を作らせる作業をするので、二階へのモノの上げ下げが頻繁にある。外壁に滑車を付けたり、電動リフトを設置したりして掃き出し窓から荷物を入れることが多いのだが、これでは小屋根が邪魔で不便だったのではないだろうか。
(2014年05月03日訪問)