三河町にあった造り酒屋、大竹酒造。
その裏手にレンガ造りの蔵があるのは以前から気になっていたのだが、きちんと写真を撮ることはなかった。
このときも、「いつか見学できないかな」などと思いながら、塀越しに雑に写真を撮っただけだった。
それが大竹酒造のレンガ蔵の元々の姿を見た最後になってしまった。
その後、この蔵は改修されて市のイベントスペースになってしまった。ちなみに、私は古建築をおしゃれなイベントスペースに改造するのはあまり好きではない。
もともとその建物がどういう機能を持っていたのかを殺してしまうし、たとえば演奏会や演劇などをやるにしたら音響などが悪くて機能的にも不十分なものになるだろうから。
だが、そこを訪れて「レトロでおしゃれな建物ね」などという漠然とした感想をいだく人々にとって、その建物がある産業に特化して造られどのように機能したのかなどはどうでもよいことなのだ。
全国津々浦々で町おこしと称して、こうした歴史抹殺の事案が次々と生まれているのであろう。
2014年の夏、このイベント会場で市内のプラモデルのサークルの作品展があり、高荷義之氏の原画展があるというので見に行った。内部はこんな感じ。
高荷義之氏はプラモデルの箱絵画家としてもっとも著名な画家の一人である。前橋市在住で、市内の模型店やプラモデル愛好家とも親交がある。実は私も子供のころ自宅のアトリエにおじゃまさせてもらったことがある。
間口は5間、奥行き15間の細長い空間だ。
小屋組みは扠首(さす)構造のような中途半端な感じの和小屋で、太い柱が8本室内にある。
これ、木造トラスにすれば柱なしで造れる空間だと思うが、なぜ扠首構造にしたのだろうか。屋根裏に2階(か3階?)を作る必要があったのか。
今後酒蔵を見るチャンスがあったら、屋根裏がどうなっているのか注意しよう。
大竹酒造の前の通り。
商店や小さな工場のような建物が多い。
(2013年01月27日訪問)