パアンに戻って一週間、来る日も来る日も雨。カレン州はミャンマーでも降水量が多い地域だ。その州都パアンは周辺の地形の関係からか雨雲が停滞するような感じで、特に降水時間が多いのではないかと思う。
土曜日、これまでほとんど外出もできなかったので、職場の面々で遠足にでかけることになった。
目的地はモン州の滝だという。その場所はくわしくはわからなかったが聞く限りではモーラミャイン(မော်လမြိုင်)から北西方向へ行ったあたりだという。
そのエリアには、第二のチャイティーヨーとも言われるノアラボーパゴダがある。せっかくなのでそこにも立寄ってほしいとお願いする。
パアンからモーラミャインまでは約70km。途中のザタピン(ဇာသပြင်)という町のカフェで朝食をとり、午前10時頃にはモーラミャインに到着した。
モーラミャイン市内を少し観光していくらしい。
モーラミャインで最初に立寄ったのは、ウージナパゴダという寺。モーラミャイン観光の定番のスポットなのか。
市の中央を南北に長い丘陵があり、その尾根は寺町を形成している。ウージナパゴダはその寺町の南端の寺である。
寺の本来の参道は長い階段なのだが、境内まで車で入れる道が北側にある。今回はトラックで来ているので車道を通って境内へと進む。
この北参道にはパゴダや仏像などが並んでいるのだが、車窓から見るだけ。
菩提樹の下にたたずむ釈迦。
こんな小さな仏もできれば飛ばさずに参詣したいのだが、団体行動なので仕方がない。
パゴダが見えてきた。
ライオンの前には四角のプールのような、井戸のようなものがあり、中央にはコブラ光背の仏陀が祀られている。このコブラ光背の仏像は、池の中に祀られていることが多い。
池にはカメが飼われていた。
階段の手すりにはナーガの造形。ミャンマーでは「ナガー」という発音になる。
それにしてもどうしてヘビに角があるのだろう。必ずといっていいほど角があるのだ。日本でいうと龍に角があるような感じか。
石段を登ったところには、こん棒を肩に担いだ悪そうな像。
お腹には布が巻き付けてある。何か意味があるのだろうな。
参道から進んでパゴダの手前に遥拝所がある。シュエダゴンパゴダやシュエモードパゴダなどでは四方に遥拝所があるのだが、ここでは北側と西側の2箇所にだけ遥拝所が設置されている。
遥拝所の中には、沢山の仏像が。
たぶん歴代の仏陀だ。
肌が白いのが独特のミャンマー仏。見慣れると穏やかな気持ちになる。
光背はLEDの電飾光背なのだが、停電中なのか点灯していなかった。
鐘つき柱。床に踏み石のようなものがあるのは、タイルが割れるのを防ぐためのものなのだろう。
この地方では鐘を撞くとき、撞木を地面と鐘に交互に3回打ち付けるという撞きかたをするからだ。
パゴダの周りには堂がいくつもある。
これはそのひとつ。
中に祀られていたのは、日よけのウチワを肩にかけ、杖をついて歩くお坊さんの像。
これは確かシンティワリというお坊さん。この人を信仰すると食べ物に困らないという。
別のお堂。
中に祀られているのは、托鉢の鉢を持ったお坊さん。
これは確かシンウーパゴといって、船乗りが信仰するという。
これはナッの行者か?
タゥンパィンココって書いてあるみたいだけど、この人の名前なのかな。
その前には
こんな感じのシャッターのついた建物に、ひとつひとつ入って行く。
寝釈迦がいた。
ひとつひとつの仏像が、日本でいう大仏基準。
四天柱の仏陀の印相、わかるようになりたいなあ・・・。
これはたぶん釈迦が悟りを開いたあと、お布施をした旅人に8本の髪の毛を与える場面か。その8本の聖髪は現在ヤンゴンのシュエダゴンに収納されているという。
この像の基壇でタガメを見かけたよ。
夜ライトアップされたパゴダに飛んできたのだろう。
生きたタガメ見るのなんて、ん十年生きてきて2度目だ。
西側の参道への降り口。
屋根のついた階段が市街地まで続いている。
左の建物は僧房だと思うが、このように切妻の屋根を重ねる独特の建物をときどき見かける。
たぶんモン州に多い。
東参道への降り口。
仏足石堂。
仏足石。
お釈迦様のLED光背が消えているのは、市域が停電しているからだ。停電は日常茶飯事。短時間の停電だと、ほぼ毎日のようにある。
南側には休憩所のような建物があったので入ってみる。
内部には色とりどりの仏像が並んでいた。
ここの仏像たちは、ほとんど理解できないものだったので、少し細かく紹介しようかと思う。
痩せこけたおじいさんの群れ。
阿波踊りを踊るおにいさん。
栄養状態のよさそうな双子。
梵天が迎えに来ました。
タトゥを入れたお兄さん。
右手が逆になる地獄か。
シカはあまり他の寺で見た記憶がない。
なにか悪いことをたくらんでいるとしか思えない場面。
このゾンビみたいな血色の連中は、基本的に悪人という表現なのか。後ろで踊ってるお姉さんもなにか悪事にかかわっているのだろうか。
セクシーなタイツを履いて象にのっているのは、王族かなにかなのだろうか。ポーズまでがセクシー。
結局、この建物にあった像は、ひとつの物語になっているのかどうかすらよくわからなかった。
境内からはモーラミャインの東部が一望できる。赤い建物は鉄道の駅である。中心街から遠く、ちょっと不便な場所にある。河港を中心に発展した街なので、舟運業者が自分たちの仕事が鉄道に取られるのを恐れて、便利な土地に線路を引かせなかったのかもしれない。
(2014年06月28日訪問)