ヤンゴン空港の入口から真西へいくラアンティッ通り。ヤンゴン最大のホームセンター Pro1 がある道だ。Pro1は、日本の田舎のホームセンターの資材館と同程度の品揃えをしており、ミャンマーでは破格のホームセンターである。
そのホームセンターの東にアーレインガーシン寺院がある。この寺のことは珍寺大道場のレポートで知って、いつかは行ってみたいと思っていたのだ。
山門を入るとすぐ巨大なドームと無数の仏塔が目に飛び込んでくる。
丸いパゴダという言い方よりも、「ドーム」と呼ぶのがふさわしいようなものだ。
無数の仏塔はほぼ正方形の壁の中にびっしりと並んでいる。
そして正方形の四隅には尖塔がある。
なんだか、イスラム寺院のフォーマットに似てるぞ。
尖塔の外周には螺旋階段がついている。
こういう塔は実際に登るとかなり怖い。私は「片持ち梁恐怖症」で、どんなに大丈夫だと言われても、片側しか支持されない床の上に乗ると全身からイヤな汗が出てきてしまうのだ。
びっしりと並ぶ小塔。
しかもなんと、その塔のあいだはすべて迷路で満たされているのだ。
ミャンマーの寺ではこれまでにも迷路を何度か見てきたが、このように本堂と一体化して作られているのはここしか知らない。
もちろん、四隅の螺旋塔に登るにはこの迷路をクリアしなければならないという設定。しびれる!
だが、迷路には長いあいだ人が立ち入った様子がない。
部分的に樹が生えてきてしまって通行できない場所もある。
どうやら迷路には入れないようなのだ。
それは必然的に、四隅にある螺旋塔にも登れないということを意味している。
仕方がないので本尊にお参りすることにしよう。
本堂の入口は緑のペンキとモザイクミラーを多用した幻惑的な意匠。
それよりも気になるのはこの真ん中にある壁だ。
想像だが、これは入口と出口を隔てる壁であり、本来は迷路を含めて順路を一方通行で巡る建物だったのではないか。つまり当サイトで最も愛好している「巡礼空間」を体現した本堂なのではないか。
だが堂内は、本尊を拝むための最低限の空間しか解放されていない。
その他の空間へは柵があって入ることができないのだ。
奥に扉が見える。この通路と外の迷路はつながっているのではないか。
この寺の名前「アーレインガーシン」は、日本語で言えば「
本尊は巨大なひとかたまりの巨大なヒスイから彫り出したものだそうだ。ヒスイの主な原産国は日本とミャンマーで、ミャンマーを代表する宝石である。
たぶん、すごく高価なものなのだろう・・・・
でも、迷路に入れなかったことが残念で、仏像への注意力はほぼゼロである。
本堂のまわりにもファンキーなコンクリ像があるのだが、迷路に入れなかったのが残念で丁寧に写真を撮る気力が起きない。
僧房もある。
本堂の周りには回廊があるので、その回廊を進んでみた。
タコンタイ(石柱)。
これはおそらく本堂と対応して建てられているタコンタイだと思う。
回廊をしばらく進むと、また別のエリアがあり、山門があった。
狭くてカメラの引きが足らず、眷族しか写せなかったが、左側には黒いゾウ。
右側には白いゾウがいた。
山門を入ると階段になっていて、先には多重塔が見えてきた。
四重塔である。
これは中国風の建築だ。
この寺はミャンマーの仏教建築から外れた建築を建てることを主眼においているのだろうか。
だが、残念なことに、この塔の入口も柵に施錠してあって、登ることはできなかった。
内部は螺旋階段。
なんで、登れないん?
どうして、こんなことするん?
本堂の外周には他にも、岩山風のお堂など、面白い建物があるのだが、迷路や四重塔に入れなかったことが残念で、残念で、まともに目に入らないのだ。
ロケットおっぱいパゴダなどもあるが、もう残念で・・・
・・・本堂をひと回りして、もとの場所に戻ってきた。
ステージがあった。おそらくダンスなどをするのではないか。後ろの絵にはカレン族の正月を祝う文字。この建造物どこにあるんだろう。
この寺は、他の寺にはない面白い要素がかなりあるにもかかわらず、それをすべて封印してしまっている。あまりにも残念で、参詣してもかえって欲求不満になってしまうだろう。
(2014年11月21日訪問)