２泊４日のマンダレーへの出張。マンダレーはヤンゴンに次ぐ大都市であり、イギリスの植民地になる前に最後の王朝があった古都でもある。

ヤンゴンからは航空便でマンダレー空港まで$100、もしくは時間を惜しまなければ長距離バス1,800円程度で行くことができる。長距離バスの場合は、件のアウンミンガラーバスターミナルを利用することになり、到着のバスターミナルも似たり寄ったりの状況なので、慣れていなければちょっとした冒険が付け加わることになる。

この出張の１泊を、ピンウールィンという高原の町で過ごした。

マンダレーからは車で2～3時間、国道3号線を約70kmの道のりだ。

途中はカーブの続く山路が続く。この道は中国の国境まで続いているため、交易の貨物を積んだトラックの通行も多い。

ピンウールィンの町の標高は1,000mほどになり、常夏の国ミャンマーであってもほとんど暑さを感じない。

ここは植民地時代にイギリス人が避暑地として開発した町なのだ。日本でいうと軽井沢に相当する。以前は、メイミョーと呼ばれていたのでいまでもミャンマー人にはメイミョーのほうが通りがよいみたいだ。

周囲は田園地帯で、果物や花卉(かき)の栽培がさかん。

この町の見どころは、イギリス植民地様式（コロニアル）の洋風な建物やクラッシックな馬車である。

仕事の関係もあり、あまり町中を見て歩く時間もなかったので、まずは馬車だけを紹介しようと思う。

ミャンマーにはまだ所々で馬車を見かける。以前、モーラミャインでも馬車タクシーを紹介した。ミャンマー国内の他の地域で見かける乗用馬車も、モーラミャインの稿で紹介したものと同じタイプだ。

だが、このピンウールィン市ではそうした粗末な乗用馬車ではなく、19世紀のイギリスの高級馬車を思わせる箱馬車が走っている。

おそらくランドーと呼ばれるタイプだと思う。

車輪は四輪で一頭立て。

乗客はボックスシートに座り、御者はボックスの外で馬を操るというものだ。

これは展示用に置いてあった馬車。

内部は向かい合わせの席になっており、４人掛け。

馬車は町の随所で見かける。

他の地域では、馬車タクシーはどちらかといえば地元の人が利用する古い交通機関なのだが、ここではおそらく外国人観光客が主な客だろうと思う。

それにしてはかなりの台数が市中を走っている。そんなに外国人がいるのかな。

色も鮮やか。

細かな造形に多少の違いはあるが、ほぼ同じ。

前輪が小さく後輪が大きい。

ウマのお尻あたりに袋があるのは、馬糞を回収するためだろう。

御者は乗用車の屋根より高い位置に座る。

ミャンマー全体でみれば馬車は減っている。安い交通機関としての実用の馬車は遠からず消えゆく運命だろう。

だが各地から馬車が消えても、この町には観光用として残るだろうと思う。