
マハミャムニ寺院の境内から北側にとんでもないものが見えた。
おとぎの国のお城か、とも思えるファンシーな構造物である。これを見てしまったら、素通りはできない。

山門のほうに回ってみた。
山門からして楽しそう。
お坊さんが袖塀を作っている最中だった。門扉は半開きになっていて、特に止められる様子もなかったので中に入ってみた。
お城のように見えたものは、たくさんの小さな塔が林立する仏塔の集合体だった。


下部は波打つピンク色の壁で、おそらく蓮の花びらをイメージしているのではないかと思われる。
塔の両脇には白象がガードするように立っている。

外周には手すりのようなものがあるのだが、一箇所だけ階段があり、手すりを越えられるようになっていた。
もしかすると、これは中に水を溜めることを想定して作られているのかもしれない。
せっかく階段もあることだし、中に入ってみた。

花びらと思われる外周の壁には小さな人形の造形がくっついている。
30cmくらいのとても小さなな人形だ。

見落としそうなくぼみにも人形が。

そしてこの塔の最大の特徴ともいえるのが、随所に貼り付いている動物のレリーフだ。

これらは、仏陀が人間に生まれるまえに輪廻転生したことのある動物を網羅したものらしい。
ヘビとカエル、ネコとネズミのように敵対関係にある動物もペアで造形されている。

ひと回りしてみたら、壁に小さな穴があった。
高さは50cmほどで、這いつくばらないと通れない。
もちろん、入ってみた。

壁の内側にはまた壁が。
壁のすきまを回っていくと、さらに内側へ入れる穴がある。

キャベツを喰い進むアオムシのごとく、どんどん中心に向かって進む。

一番内側の層は、砂や落ち葉が溜まっており、清掃されていない。
ここまで来る人はめったにいないんだろうな。

塔の付け根まできたわけだが、一番高い塔に取りつくことはできなかった。

二階の部分にはハシゴがあるので、メンテナンスするときは、外周にハシゴをかけるのだろう。

これは一種の迷路なのではないか。
ミャンマーの寺には、時として伽藍としての迷路がある。遊びのなかで簡単には悟りに近づけないことを体感する装置なのである。

一応、お寺の他の堂宇も紹介しておこう。
これは僧房と思われる。
小さな寺であり、お坊さんの数は多くはなさそう。

層塔型の屋根をもつ建物。

これは得度堂ではないかと思う。
(2015年05月05日訪問)