2015年4月13日、私はまたヤンゴンの街にいた。いま季節は
正直、この期間にまともに仕事をしようというのは無理な話である。それでも他の仕事のスケジュールもありどうしてもこの期間しか訪問できなかったので、祭日中のヤンゴンに到着することとなった。休み中は職場もしまるので、私はホテルに引きこもってひたすら事務作業をこなすつもりなのだ。
ところで観光で水掛け祭りを訪れるときは気をつけなければならないことがある。それは、この期間はミャンマー人が帰省で大移動することと、休み中には長距離バス会社も休みに入ることがあるため、国内の移動がきわめて困難になるということだ。商店も閉まるため必要なモノが買いにくくなるし、流通も止まるためレストランは食材が底をつき開店休業状態になることもある。たとえばこの期間にヤンゴンに着いて水掛け祭りを見たあと、バガンやマンダレーなどの他の観光地へ移動するというような個人旅行は考えないほうがいいだろう。
私も長距離バスによるヤンゴンからカレン州までの移動のめどが立たず、スタッフの車でカレン州から迎えに来てもらうことになった。午前中、ヤンゴンでの打合わせを終えたが、せっかくなのでヤンゴンの水掛け祭りの様子を見ていこうということになった。
ヤンゴンの街では随所に水掛け祭りのステージや、個人設営の水掛け所が出現する。
おかげで、渋滞の多いヤンゴン市内が、さらに渋滞するわけである。
それにしてもヤンゴンの街は日本車だらけだ。特に目に付くのがトヨタのプロボックスやサクシード、日産のADワゴンといいった商用ライトバンだ。タクシーの大半はこの2車種といっていいかもしれない。
水掛け祭りは日本の神道でいうミソギ、つまり汚れを洗い流すというような意味があるらしいが、現在ではあまりにも暑いので水を掛けあって騒ごうという意味合いが強くなっているように思える。
この日は、道を通る人々に自由に水をかけていいことになっている。ヤンゴン市内はバイクやサイカーの通行規制があるため、交通手段は自動車か徒歩になるので、主に自動車と通行人に水をぶっかけることになる。
もっとも、すべての人に水をぶっかけるというわけではなく、たとえばカバンを持っている人などにはあまり大量には水をかけないようだ。
でもせっかくの祭りの時に、自分だけ水がかからないというのはわびしいので、かけてもらうつもりならなるべく手ぶらで歩くのがいいだろう。
こんなかわいい水掛け人もいっぱいいる。
車の場合は、水掛け場の近くになったら減速すれば掛けてもらえる。
もちろん窓は閉め切っておかないといけない。
中には、車内の濡れて困る場所をビニールでカバーしたうえで、窓全開で水掛け会場に突入する猛者もいる。
有料駐車場の入口にも水掛け所が設営されていた。駐車場の従業員がやっているのだろうか。
でも休日なのであまり利用する車もなく暇そう。
市内の要所要所には、大型の水掛けステージが作られる。
大型ステージはスポンサーがついていて、設営の費用を負担しているようだった。高い場所から水が降り注ぐ。
トラックの荷台に乗っている若者は、仲間たちで車を調達して市内の水掛け所巡りをしているのだ。
こうした風習は近年になってからではないかと思う。
日本でも小正月のどんど焼きで、複数の会場を回るという「七所巡り」あるいは「七所参り」というような風俗があるので、どこの若者も考えることは一緒だなと思う。
水掛け祭りでも、お坊さんには掛けないというルールがある。
中央にいるのは、スマホ防水カバーの売り子。
ミャンマーでも若者のスマホ所有率は高く、水掛け祭りともなればこうした商売が生まれるのだ。
このようにトラックで街に繰り出しているのは、日本でいうヤンキー層の
ちなみにミャンマーの田舎にも田舎暴走族みたいなのはいて、そのファッションは日本とほぼ同じである。上下黒のユニホーム、黒いマスクをして、ニケツの後ろが旗を振るとか、びっくりするほど似ている…。
ヤンゴン市内の水掛けステージでもっとも大規模なのは、ダウンタウンのスーレーパゴダの東側、シティホール前の大通りである。
その場所を歩いてみることにした。
シティホール周辺の道路は封鎖され、水掛けステージとライブ会場が作られていた。
このライブ会場、観客の頭の上から水が降り注いでいる。
私もびしょぬれになるのは覚悟の上で、今回は昔買った防水デジカメと着替えを持ってきた。
ステージの最前列の前には、1車線だけ車が通れるようになっていて、水をかけてもらいたい車はこの車線を走るのである。
ハッチバックをオープンにして会場に来るバカ発見!
水圧が強いため、荷台に乗っている男たちも後ろ向きでひたすら耐えるだけ。
目はまともに開けられない。
カメラを向ける私にも容赦なく水があびせられる。
足下は水浸しというより川のようになってしまっている。
この期間、いったいどれだけの水道水が消費されるのだろう。
(2015年04月13日訪問)