ではいよいよチョントゥ滝そのものの紹介へと移ろう。だがその前にひとつ説明しておかないといけないことがある。4月18日にバプテスト教会日曜学校の遠足に行ったことが職場に知れ、職場の女の子たちからねだられて5月1日に再度この滝を訪れたのだ。ちなみにこういうときのトラックのチャーター代は、経費じゃなく自腹。
せっかくなので写真は主に5月1日に撮ったものを使おうと思う。そのほうが華やかだから。
駐車場から滝への道は、オオギヤシの林の中に茶店が続くという、カレン州にしてはかなりイケてるたたずまい。
売ってるものはといえば、駄菓子とカレーくらいしかないのだが。
茶店と茶店の間に小川が流れ、橋を渡りながら進む。
途中から川の本流に小さな滝が見える。
石灰岩の山体が水の浸食でなだらかに削れてできたように見える。ある意味巨大なリムストーンみたいな小滝だ。
これは支流部分。
茶店が川の上に建てられている。
茶店の前に浅いプールのようになっているところがあり、子どもたちが遊んでいた。
親からすれば、このような目の届くところで遊ばせたほうが安心なのだろう。
5分ほど歩くと滝つぼに到着。
何度も写真を見ていた観光地なので「あぁ、写真通りだな」というような感慨しか湧かない。
U字型に切れ込んだ崖の至るところから水が落ちている。私が見たことある滝でいうと、大分県の原尻の滝に近い感じ。違うのは滝つぼで自由に泳げるところだ。
下は橋から見た滝つぼ方向の180°の視野のVRパノラマ写真。
滝つぼの中央には竹の橋が架かっている。ここから飛び込んだり、むやみに下流に流されるのを防ぐ役割も兼ねている。つまりこの橋より上流側が水浴場となっているのだ。
私たちはこの奥に見える滝観茶屋で朝食を食べることになった。滝がもっともよく見える茶屋で、おそらく他よりも値段が高いんじゃなかろうか。
朝食といっても、町の茶店にあるような軽いメニューはなく、朝からカレンスタイルのカレーである。
奥に銀色のボウルが並んでいるが、そのフタを順番に開けて自分が食べたいカレーを選ぶ。私は例によってプラウンカレーを頼んだら、本物のエビじゃなくてエビそっくりのカマボコだった。山奥だからか。ちょっとびっくりした。
茶屋はプールサイドなので海の家的な機能を持っている。
お客さんはテーブルを占領して、そこに着替えや持ち物などを置いて滝つぼで泳ぐのだ。
私もバスタオルや着替えを置いて、滝つぼへ向かった。
ミャンマーの水浴びは基本的に服を着たままである。
おばちゃんたちも大胆に水に入っていた。
男性は上半身は裸の人もいるが、その割合は半分くらいか。あとはTシャツを着て泳ぐ。
滝つぼの広さは、幅25m、長さ50mくらいあり、ほとんどの部分は足が届かない深さ。
流れがあり、泳いでも前に進まないような場所もあるので、泳ぎ慣れていない人は浮輪を借りたほうがいいかもしれない。
私はちょっとダイナミックに動きたかったので、浮輪は邪魔になりそうなので借りずに滝つぼに入った。
レンタル浮輪は充分にある。
値段は聞かなかったがおそらく1000チャット、観光地特別価格でも2000チャットくらいであろう。いずれにしても日本人が躊躇するような額ではない。
到着したときにはまだ少なかった人が、朝食を食べているあいだにだいぶ増えてきた。
滝の上に登って記念写真を撮っているヤツがいる。
見回したところ簡単に登れそうなルートは見当たらないのだが。以前、モン州のジンチャイッ滝でも滝を登る命知らずがいたけれど、ミャンマーの男の子は冒険好きだな。
職場の女の子たち。
今回は、むかし買った古い防水デジカメを持ってきたので、水のかかる場所も紹介できる。
この滝つぼの定番の遊びかたは、左回りに滝の裏側を回っていくというパターンである。
滝の裏側はえぐれたようになっていて、鍾乳石が下がっている。
滝の裏側にどんどん入っていく。
こういうとき浮輪があると流されてかえって邪魔じゃなかろうか。
もっとも浮輪なしだと、水面から首だけ出して鍾乳石にしがみつきながら進むことになる。
どう見ても、優雅なレジャーという感じではなく、ひとつ間違えたら死ぬんじゃないかという遊びになってくる。
やっとメインの滝の裏側に到着。
人が数人乗れる棚状の岩があり、その上によじ登って休憩。棚状の岩は下がえぐれてオーバーハングになっている上に滑るので、懸垂で身体の重量を水から揚げるのはけっこう大変。こういうところはミャンマーの女の子はたくましいなあ。
滝の裏側は涼しくて、あまり長時間ここにいると唇が紫になってきそう。
ここから出るには水しぶきが激しくかかる崖にしがみつきながら進むか、それとも思い切って水が落ちている滝つぼを突き抜けるかだ。
よし、滝つぼを突き抜けよう。
水がどんなふうに渦巻いているのか、よくよく観察してから泳ぎ出す方向を決める。
滝の水圧は相当なものなので水中に巻き込まれたらどうなるかわからない。ライフガードなどの監視員がいるわけでもないので、一人くらい沈んでしまっても誰も気付かないと思う。
崖を蹴って勢いよく泳ぎ出す。
抜けたーっ。
このあたりでは流れがあるので、もう滝のほうへ戻ることはできない。
と、まあ、この滝つぼでの遊びはこれで一巡。
もう一周するかな。
だいたい1時間くらいで飽きてきたり疲れてきたりで、みな茶屋に戻った。
脱衣所やシャワー室などはなく、私はロンジーを使って茶屋の中で着替え。女の子たちは茶屋の裏口のほうで着替えたみたいだった。
帰り際、途中の茶店街でタナカの無料サービスをしている店があった。
タナカとはミャンマーの女の子が使う天然原料のファンデーション。タナカの木の樹皮を硯ですり下ろして使う。タナカの樹皮はとても硬く、石みたいな手触り。
暑季は紫外線もひときわ強く、きょうは滝つぼでたくさん日に当たったのでお手入れは欠かせない。
塗るときは専用の刷毛を使うこともあるが、普通はこんな風に手で顔に塗ってゆく。
同じところを塗ると剥げてしまうので、きれいに塗るのは意外にむずかしい。
タナカを塗るのは、女性と子供で、成人男性が塗っているのはあまり見かけない。
彼女のタナカの塗り方はいつも大胆なんだよなあ。
塗り方には個性もあるし、地域性もあるのかも知れない。
お土産のTシャツを物色。
滝のオリジナルグッズも売っていた。
こうして見たら、つい最近まで内戦が続いたなんて思えない平和な観光地の風景だ。
この平和がいつまでも続くことを願ってやまない。
(2015年05月01日訪問)