通訳さんにつれられて行ってみると、そこは外観からはまったく営業しているとは見えないお店なのであった。
これじゃ素通りしてしまうな。
このお店の商品は、自家製の牛乳とヨーグルト。
特にヨーグルトは素焼きの壺で作られるという風情あふれる逸品。
注文すると壺からグラスによそってくれる。
トッピングには、砂糖か、オオギヤシの樹液を発酵させたテニェという黒蜜をかけることができる。左写真の黒っぽい醤油のような液体がそれだ。
私はプレーンで注文。
自家製のヨーグルトというと、糸を引くようなトローンとした舌触りのものが多く私は好きではない。だがここのヨーグルトはサラッとしていて実に美味。
乳精が炭酸みたいにピリッとするので、初めて食べるときはビビるが大丈夫。慣れてくると癖になる。
あまりに美味しいので、その後この店には頻繁に通うことになった。
英語もまったく通じないおばちゃんだが、ヨーグルトを表わす「ディンヂン」という言葉だけは私も覚えた。
この店のもう一つの商品。それは牛乳。
カレン州ではお店で新鮮な牛乳を見かけることはない。ちょっと高級な店で、豆乳か脱脂粉乳ベースのロングライフ牛乳を見るだけである。ヤンゴンですら牛乳は大手スーパーくらいでしか買えない。
ここでは、自家製の牛乳を加熱殺菌して販売しているのだ。
あ、おばあちゃん葬式のウチワ使ってるね。
この牛乳がまた濃くて美味いのだ。
私は日本で、65℃30分の低温殺菌牛乳が最高のものだと妄信していた。
だが、ここでは軽く煮立つくらいの温度で殺菌しているのに美味しい。牛乳の美味しさは殺菌温度で決まるわけではないのだな。
牛乳を買うときは、飲み終えたミネラルウォーターのペットボトルを持参して欲しい量だけ注いでもらう。衛生的には微妙だが、持ち帰ったらすぐ冷蔵庫に入れて1~2日で飲み終えてしまえば問題ないだろう。
値段は1ℓで2000チャット(160円)。日本とあまり変わらない値段だが、美味しいので少しも高いとは感じない。
店の裏で牛を飼っているので見せてもらった。
敷地にはオオギヤシの樹があり、このてっぺんの花弁の部分を切って樹液を集めている。これであの黒蜜を作っているのだ。
これが牛小屋。
ホルスタイン種と思われる牛と、ガンジー種と思われる牛が半々くらい飼われていた。
干し草の山。
草だけでは乳脂肪分が不足するのか、お粥も食べさせているとのことだった。
一部の果物をのぞけば、パアンでは日本の食べものより美味しいものを見つけるのは難しい。しかこの店では日本で飲むより美味しい牛乳が手に入る。パアン旅行で時間があれば行ってみるのもよいし、仕事で駐在するならぜひとも通いたいオススメ店だ。
(2014年07月25日訪問)