次なる村を目指す。この村はきょうの旅の後半のお楽しみポイントなのだ。
この村に着目したのは偶然であった。あるとき、GoogleMaps の航空写真でカレン州をたらたら眺めていて気になる物体を見つけた。物体の大きさは3m×6mほどしかないので、探そうと思って探せるものではない。たまたま目が止まったのだ。それは川の上にあるので橋だと思われたが、日が当たって水面に落ちた影が不自然に大きかった。
「もしかして、屋根付橋ではないか?」
もちろん航空写真の解像度ではそれ以上のことはわからない。行って確かめるしかない。これまでパアン市周辺で屋根付橋として分類した物件はいくつかある。だがそれは橋の途中に小屋があるというタイプで、橋全体が覆われた一般的イメージの屋根付橋ではなかった。
そもそもミャンマーには本格的な屋根付橋はあるのか? その謎がいまから解決するのである。
村へと向かう長い一本道。
遠くにパゴダが見える。
ちょっと形が独特だ。
あとで行ってみよう。
村に入ろうとしたら、すぐに屋根付橋を発見!
やっぱりミャンマーにも屋根付橋はあったんだ!
しかもここは私が目指していた場所とは別だ。ということは、この村には2基の屋根付橋があることになる。
橋は誰が見ても、文句なくまさに屋根付橋、という造り。
橋脚はレンガ、橋げたと橋床は木造という風情。正直なところ航空写真を見ただけでは半信半疑だったが、想像以上のすばらしさ、100点満点で120点あげたい満足度だ。
これなら私みたいなマニアだけじゃなく、普通の観光客を連れてきても喜ぶんじゃないか。さっきのコーナッ寺院へ外国人を連れてきていたツアーガイドに教えてあげたいくらいだ。
橋床は車が通れるように補強されている。
このパッチワーク感がまたいい味になっている。
橋の片側はベンチになっていて、老夫婦が午後のひとときをのんびりと過ごしていた。
まだ家に帰りがたい子どもたちもここでおしゃべりをしていた。
ただの橋ではなく、夕涼みの憩いの場所になっているのだ。
橋を渡り切ったところには、納涼床のような場所があるが、こちらは人気なし。
休憩所ではなく、お店をやるための空間かも知れない。
橋のたもとにはナッの祠があった。
いろいろとにぎやかな橋だ。
川の名前はGoogleMapsによればイラワジ川となっている。
サルウィン川から1kmほど入った小さな支流で、巾着のように蛇行している場所に村が成立している。蛇行することで船着き場として利用可能な川岸の距離が大きくなるので、ここに村が成立したのだろう。
水位が下がっているのは、退潮の影響だろうか。
いきなり素晴らしいものを見てしまった。
では、もうひとつの橋へ向かおう。
(2015年11月29日訪問)