上田手漉和紙工場

ミツマタから箔合紙を作っている工場。

(岡山県津山市上横野)

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道ばたに和紙を作っている工房があったので立ち寄った。

と言うのも、上横野の水車小屋は和紙の原料を作っているという情報があったからだ。水車小屋は少し離れたところにあるとのことだったので、まず工房を見学させてもらった。

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軒先では女性がミツマタの皮をけずっていた。これが和紙の原料となる。

ミツマタの樹については群馬県の秋畑で見かけたものを紹介している。花がたくさんつくので庭木などに植えられていることもあるが、自然の状態ではスギ林の林床などに繁茂しているのをよく見る。

上横野ではかつては畑地でミツマタを植えたという。現在はこの地ではあまり生産されておらず、勝北、久世、落合のあたりで生産されたものを持ってきているとのことだった。

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ミツマタは刈り取ったあと蒸して、樹皮をはいでから一度干す。この干した皮は表皮の色の濃い部分も含まれていてその状態を「黒皮」という。黒皮を流水に晒してから刃物でこそいで、白い部分だけにする。

それがこの作業で「へぐり」という。へぐりによって純度が高くなった樹皮を「白皮」という。

その白皮をアルカリで煮て柔らかくし、さらに流水に晒し、叩解(こうかい)という繊維をほぐす工程を経て、やっと紙漉きができるようになる。

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これは皮をはいだミツマタ。

置いておくとすぐにカビが生えてくるので、焚きつけに使っている。

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これが白皮を煮る大釜。白皮はアルカリで煮ることで、繊維が柔らかくなり漂白の効果があるのだろう。この工程を「煮熟」という。

ちょうど火を入れているところだった。

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漉いた紙を板に貼り付けて乾燥させる。

この工房で作っている和紙は箔合紙(はくあいし)といって、金箔を保存するときに挟む紙に使われる。きめの細かい高級和紙で、津山は箔合紙の産地として有名なのだそうだ。

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紙漉きについては私はあまり詳しいジャンルではなく、どういうところを見たらいいのかはまだよくわからない。

もっと理解が深まってから見学したら、きっといろいろと発見があるのだろうと思う。機会があればまたいつか訪問したいものだ。

(2003年04月30日訪問)