寺町裏の水車小屋

水車小屋の周囲は学生向けのアパート。

(岡山県高梁市奥万田町)

寺町の裏手の谷には大学、短大、専門学校があり、あたりは学生向けのアパートや学校の寮など、学生向けの物件が立ち並んでいる。

次の目的地である高梁八幡神社へ行くにはこの急坂を登るのが近道に思われた。レンタル自転車を立ちこぎで登って行くと、、、

、、、あれ?

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こんなところに水車小屋あるじゃん!

しかも私がもっとも好きなタイプ、まったく観光的補修がされていないまま朽ち果てつつある実用水車じゃん!!

今回の旅のテーマは水車小屋探しだが、きょうは寺町巡りで、そのつもりではなかったからビックリ。

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高梁市の観光マップなどにも載っていない、隠れた観光スポットだ。

まぁこんなものを観光するのは、私くらいかもしれないのだが。

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水車小屋の水輪は鉄製。

水の掛け方は順方向の上掛けだったようだ。

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下半分は錆びて崩落してしまっている。

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これまで何度か書いているが、私は鉄製の水輪が好きだ。はっきりと言える。

むろん世間の常識としては、木製の水輪のほうが見栄えがするので、一般に木製が好まれるのは当然だろう。

だが、昭和末期や平成時代の生活感、経済感覚で木製の水輪を運用していくということは実用本位ではむずかしい。「水車を守る会」や「水車保存会」が補助金を使って「保存のための保存」を開始し、建物を美化してしまった時点で、機能中心の建築はその役目を終えてしまうと私は思う。

一方で、ビジュアルに劣る鉄製水輪は、観光のための美化がされていないウブな水車の証しでもある。このウブであるということが重要なのだ。私が鉄製水輪を好きなのは、そういう屈折した愛によるのである。

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導水路は周囲の改修工事によりわかりにくくなってしまっているが、樋の痕跡を確認できた。

150mほど上流から取水し、小さな用水路で水を引いている。この用水路はこの傾斜地の棚田に水を入れるために今でも生きているようだ。

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内部の機構は解体されてしまっているのか、よくわからない。物置として使われていた。

しまわれているのは漁具。見たところモズクガニ漁に使うカニモジのようだ。

高梁川には途中に堰はあるが昔ながらの固定堰で、海と川を行き来する生物は問題なく通過できる。海から50kmは上流になる高梁市の近辺でもモクズガニが捕れるのだろう。

(2003年05月03日訪問)

日本の水車―その栄枯盛衰の記 

(関西大学東西学術研究所研究叢刊 21) 単行本 – 2003/3/1
末尾 至行 (著)

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