ミャイン村。ワボドゥ⇔パプン街道の全行程のなかでもひときわ特徴的な場所で、不思議な形の岩山がいくつも連なっている。このあたりの山に洞窟があるというのできょうはそれを探し出すつもりなのだ。
といってもだいたいアタリはつけてある。この烏帽子のような形をした岩山のふもとに寺があるのを確認済みで、まずこの小山を確認しよう。
サルウィン川の渡河になんだかんだで1時間を要しており、時刻はもう16時になっている。太陽は傾きかけ、西側に見える山並みはすべて逆光で撮影には不向きな状況だ。
だが寺に向かう参道の途中からすでに山の中腹に穴のようなものが見えてきた。
階段もあることから入洞可能な鍾乳洞と見てまちがいない。意外に簡単に洞窟を発見できた。
山全体の標高は推定120mほどで、洞口までは60mくらいの登りか。一息で登るのは無理だが、洞窟が確実にあるということがわかれば足取りも軽くなる。
まず、山麓にある僧院を見ていこう。
境内に入ってすぐあるのは講堂。境内の入口には背面を向けている。このような向きで講堂が配置されている寺は多い。
二階建てのように見えるが、高床式の一階建て。
その先には僧房。
講堂の裏側には得度堂。
そのほか小さなパゴダがいくつかある。
緑色のお堂も得度堂のように思われるので、講堂の近くに新築したのか?
境内の奥に進んでいくと、いくつもの僧房が連なっている。遠くから見たイメージより建物が多い。
山へ登るルート発見。
途中に山門のようなものが2つある。
1つ目の山門の中には、鍾乳洞の解説があった。
ミャンマー語なのでさっぱりだが、写真を見るに、このタウンチャウ洞窟固有の記事ではなく、石灰岩や鍾乳洞の全般の知識が書かれているように思われる。
さっそく登ってみよう。
2つ目の山門を過ぎたあたりは鬼のような斜度。
足を滑らせたら死ぬんじゃなかろうか。
少し登っては休憩を繰り返す。
階段はきれいに作られていて、裸足で登ってもよさそう。
もっともこれまでの経験から、洞窟の中だけはできればサンダルを履いて入りたい。岩盤の上に小石が散らばった上を裸足で歩くのは日本人には拷問だ。ミャンマーの本来のマナーからすれば鍾乳洞も裸足で入るべきなのだが。
約10分で洞口まで登った。
左手前にも小さな穴のようなものがあるが、ただのくぼみだった。
洞口にはバルコニーがあってそこからサルウィン川方向を眺めることができる。
畑に山の影がくっきりと伸びている。
バルコニーで少し呼吸を調えてから洞窟へ入洞。
入口付近には仏像が並んでいる。
少し入ったところから洞口を見返す。
フローストーンなどの鍾乳石が見られる。
そこから先の鍾乳洞部分には仏像などもなく、地面も自然のまま。
奥のほうに光が差しているのが見える。貫通型の鍾乳洞なのだ。
しばらく暗闇の中を進んでいくと、キュルキュルというような音が響き渡る。
大量のコウモリが人を警戒して鳴き交わしているようなのだ。
コウモリは天井の所々に集まっていて、どのくらいいるかは想像できない。おそらく数千匹はいるのではないか。
以前に見たバットケーブから比べれば物の数ではないが、もしこいつらが一斉に飛び立ったらホラー映画の再現になってしまうだろう。そうでなくても興奮してオシッコでもされたらたまらない。
なるべく刺激しないように、おそるおそる下を通過した。
地面にはコウモリの糞(グアノ)が積もっている。
もしかすると地表と思われるものもグアノの化石かもしれない。
鍾乳石の根元にもグアノ。
出口が見えてきた。
なんとかコウモリたちをおどかすことなく出口まで到達できた。洞窟の全長は60mほどか。途中に入れそうな支洞もなく一本道の洞窟だった。
東斜面の洞口からみて山の裏側、つまり西斜面まで出てきた。
崖の途中に開口しているためここから先へは行けない。またコウモリ群れの下を通って戻らなければならないのだ。
西側の出口の二次生成物。カーテンや鍾乳石が豊富。
鍾乳洞の二次生成物は地下水で作られるのが一般的と思うが、この出口付近の鍾乳石は雨水でできたのではないかと思われる。
洞口から西側を見たところ。
畑と低い丘陵が連なっていた。
(2016年12月30日訪問)