この台について語るには、まずこの台が設置されている公園について語らねばならない。
公園を探して狭い道をクルマで行ったり来たりしてもまったく公園らしきものが見当たらないのだ。しかたなく近くにクルマを停めて、歩いて公園の探査を行う。
左写真は公園の入り口の道。
ただでさえ狭い路地を進んでいくと、家と家のブロック塀のすきまの奥に空き地が見える。
そう、この細いすきまが公園のメインのアプローチにして唯一の出入り口なのである。
かつて漁村だったとはいえ、これはちょっとすごすぎないか。公園というよりは秘密基地といった感じ。
その公園の滑り台。
南浜児童館の台と同形であるが、 なんと滑降面が未改修のままなのである。
材質は、駅前や商店街などに置かれるようなベンチに使われているような硬質塩ビ樹脂。家庭用の風呂場のスノコのような材質。このような滑降面を持つ滑り台を当サイトでは「スノコ台」と呼びたいと思う。
一度光沢をなくしてしまうと、汚れが目立つ材質だ。他の公園で改修されたのもわかる。だがこの公園はその立地のためか、まるで時間の流れから取り残されたように、原初の形のまま残ったのである。
片側はステンレスになっている。
南浜児童館の台では両側とも裏面にポリエチレンのスノコが見られたが、ここでは片側は完全にステンレスだけで構成されている。
一つの台で2種類の滑り心地を提供した可能性もあるがが、ステンレス製の滑降部は手すりの形状も異なることから後補のものなのではないかと思う。
滑り出し部のグリップの形状は滑り台保存館#143と似ているが、滑り終わり部分の手すりの角が丸めてあるという点は異なっている。
デッキのタイプとしては「アーチデッキ」。
公園にはほかにブランコ、シーソーがあった。
使い込まれた感じの風合いがたまらない。
(2003年09月13日訪問)