阿南市南部にある一般有料道路、
一般事業者が運営する有料道路としては、徳島県でただ1箇所の有料道路である。ETCなどまったく使える気配もない古びた料金所がすごくいい味を出していて、600円もの高額な通行料金を取られても、それ自体がなにか希有な体験のように思わせてしまうすごい料金所だ。
いずれこんな風景も見られなくなるだろう。
この道路は、標高284mの津峯山に登るためのもので、ルートからは阿南の海岸線を眼下に眺めながら走ることができる。こうした道路を「スカイライン」って名付けるのは昭和の風習だろう。
いま新たに同じような道路が建設されても、スカイラインなんていう仰々しい名前は付けないのではないか。
道路はその名前に恥じない景観。
道路の最後のほうは尾根を走る。
山頂部分の駐車場へと到着した。
駐車場には展望休憩所があるがすでに機能していない。有料道路オープン当時には相当繁栄したのだろう空気はいまでもわずかに残っている。
ここからは、徒歩で山頂の津峯神社へ参詣したり、明神の岩窟という海食洞群を見学できる。もちろん600円も払ってこの有料道路を登ってきたのはそれらを見るためなのだが、そのことについてはまた別の機会に紹介することにしよう。
今回紹介するのは、有料道路の途中の公園にあった3レーンの滑り台だ。
90度ごとに3つの塩ビパイプの滑降部があり、残りの1辺にはタラップがある。つまり上からみたら十字形になっている。
これまで120度ごとに2つの滑降部がある、いわゆる三叉台は何度か見てきたが、3つの滑降部があるものは初めてだ。しかもそれが塩ビパイプだというのだから珍しさに輪をかけている。
もちろん、これまで見てきたいくつかの塩ビパイプ台と同様に滑降面は荒れ放題で使用禁止になっていた。
津峯スカイラインが開通したのは昭和42(1967)年、大阪万博よりも前のことである。背後に写っている展望レストランなどもポストモダンのハシリみたいなすてきなデザインで時代を物語っている。この滑り台も同時期に作られた可能性がある。だとすれば40年前であり塩ビパイプ滑りはこれまで想像した通り、かなり古いということがわかる。
デッキに登ってみた。
3方向に滑り出すことで遊びの楽しさを増幅することができるのかどうかはよくわからない。どのレーンも同じ角度、同じ材質であり、滑りの差はないからだ。
子どもが行列することでも想定していたのだろうか。
滑降面を裏から見るとパイプ間には隙間があり、透けていることがわかる。
公園には他に、ブランコ、シーソー、ジャングルジム、パーゴラがあった。
(2007年04月08日訪問)