VIVOの自販機を見てからいくらも走らないうちに、また道ばたに気になるものがあった。
木造の洋館で、使われなくなった郵便局の建物だ。
地方の郵便局でたまに擬洋風の建物を見かけるが、この物件はちょっと抜きんでている。擬洋風というよりもかなり本気で作った和製ルネッサンス様式の建物だ。
八角形の塔屋にドームを載せ、ウロコ状の銅板で屋根を葺いている。あまりにも凝っているので、一瞬、古建築に見せかけた近年のファンタージー商業建築かと思ったほどだ。でも、こんな田舎でここまでのコストをかけてファンタジーを再現する必要もないだろう。
塔屋は階段室になっていると思われるが、建物全体で2階があるのはここだけ。
おそらく2階に登っても大した床面積はなく、郵便局長の執務室などがあったとしても、机ひとつ置く程度の広さしかないのではないか。
建物全体はミントグリーンで塗られていて、曇り空ながらかなり鮮やかだ。
調べてみると、大正12年に竣工した洋館のようだ。
いわゆる擬洋風の木造建築は明治初期のムーブメントであり、大正時代はどちらかというとRC造の古典様式が流行した時代だ。
時代が下るぶん、ディテールが精巧でより純度が高い洋風建築として完成している。
(2004年05月03日訪問)