伯耆大山

1,729mの標高にしてはダイナミックな山容。

(鳥取県大山町大山)

きょうは遅い夏休みで9月1日、木曜日。

GWに鳥取を訪れ、その最後に大山寺に参詣した。そのとき伯耆大山の景観に圧倒され登ってみたいと思うようになっていた。今回の旅行は、前回の松江・鳥取の旅の続きである。

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真夜中に伯耆大山に到着し、麓の駐車場で仮眠し朝6時に目覚めた。

夏のハイシーズンも終わり、かといって紅葉にはまだ早い平日なので登山路入口に近い駐車場も空いている。

前回訪れたときと同じ場所、塔頭の金剛院付近から登山道に入る。この場所がすでに標高が800m、山頂までの標高差はだいたい950mほどになる。

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私はこのころ徳島の低山を歩くのが好きで、頻繁に山に出かけていた。登山にはまるというガラじゃないのだが、里山自然やかつて山の生活、信仰があった場所を見るのが楽しかったのだ。低山の登高はせいぜい200~300mだが、山歩きを繰り返すうちに「標高差300mってこんなか」というのがわかってきて、「大山の約900mの標高差だとその3倍だから自分なら無理せずに歩けるな」と感じるようになっていた。

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でもそんな徳島の山歩きはサイトで紹介するようなことではなく、観光というより娯楽かスポーツのような気分だったので、いちいち写真は撮ってこなかった。実はこの少し前にも一人で富士山へ登ったのだが、ほとんど写真を撮っていない。

今回も同じようにサイト用の写真を撮るつもりはなく、寺巡りの前の娯楽というような感じだったのでメインのカメラを持たずに、念のためポケットカメラだけを持っていくことにした。

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登り始めはブナやミズナラの森の中の登りで気分がいい。蝶のアサギマダラをけっこう見かけた。アサギマダラは渡りをする蝶で、私が一番好きな蝶だ。決まった土地で繁殖を繰り返すのではなく、自分が生まれた場所から別の場所へ渡ってゆき、その先で命をつないでいくという性質がとても興味深い。徳島には四国から本州へ蝶が海を渡る岬があって、何度かアサギマダラを見に行ったことがある。どうやって蝶が海の先に陸地があることを知るのか不思議でならない。昆虫には自我はないかもしれないが、見知らぬ土地を目指して旅立っていく姿は感動的だ。

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六合目から森林限界を超え、潅木が目立つ尾根の斜面に出る。尾根の斜面は急で、どちらかといえば健脚ではない私はうしろからくる登山者に何度か道を譲りながらゆっくりと登った。

高木がないため見晴らしが素晴らしい。登り始めたときは写真を撮るつもりはなかったのだが、ここまで来て気が変わった。

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このあたりからはイチイが矮小化したキャラボクという針葉樹の純林が一面に広がる。

日本海側の高山にみられる独特の生態系で、特別天然記念物に指定されている。

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登山基地ともいえる大山寺門前町がかなり下になった。

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大山は海岸線からも近く、そのすそ野は直接日本海になっている。

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このあたりからは大山北壁を横から眺めることができる。う~ん、やっぱり雄大な風景。

9月になったとはいえ、すでにけっこうな暑さ。ここまではキツイ登攀もあったが、疲れを忘れる。

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9合目付近か。

登山路が木道に変わり、突然緩やかな尾根道になる。ここで道は尾根のルートとキャラボクの中を歩くルートに分岐するが、往路は尾根、帰路はキャラボクの中を通ることにする。

振り返ると日本海までが一望できる。

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右手を見るとキャラボクの林が広がる。

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ここからはひたすらに気分がいい。

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避難小屋をすぎると、いよいよ最後の登り。

小屋は山小屋ではなく、避難施設なので売店などはないし、休憩などもできない。

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尾根道への入口に到着し、ここが終着点。

ここから先の剣が峰方面もかつては歩けたそうだが、現在は崩落が多く立入禁止になっている。

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駐車場からはだいたい3時間。健脚なら2時間~2時間半くらいで登るのではないか。

ここらでしばし休憩。

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帰路はキャラボクコースへ。

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男性的な風景の尾根コースと打って変わり、女性的な穏やかなコースだ。

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途中に石室と呼ばれるものがある。

古い避難小屋である。

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中には山の神が祀られていた。

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この前には地蔵ヶ池といわれる小さな池があり、大山寺の行者が閼伽水をくんだといわれている。

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このときは池は枯れていた。

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この付近で見かけたヒオドシチョウ。

大山は途中危険な場所もなく、私のような素人でも根気よく登れば素晴らしい景観が気軽に楽しめる山だった。

所要時間は休憩も含め、登り3時間、下り2時間の合計5時間もあれば充分だろうと思う。

(2005年09月01日訪問)

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