猪尾の夫婦窯

煙出しがガラリ板の推定折衷式ベーハ小屋。

(島根県雲南市加茂町猪尾)

松江に一泊して、旅の2日目。昨日は桜江町で養蚕農家に出会えず、土中育の遺構も見つからずじまいだった。石西社で聞いたもうひとつの可能性のある場所は山口県に入った田万川町なのだが距離も遠く、その可能性に賭けるか悩ましいところ。一方でネットを検索し、松江市に染織作家の矢野まり子さんという方がいるのを知った。繭から座繰糸を作り、自分で機織りまでをされている作家だ。

彼女に電話して養蚕農家を探していることを話すと、会ってもらえることになり、まず朝イチで工房にお邪魔させてもらった。そこで彼女の知っている養蚕農家を紹介してもらえることになった。しかもそのうち1軒は土中育をやっていたらしい農家だというのだ。きょうはその2軒の農家を訪ねてみることに決定。

矢野まり子さんの工房を後にして木次方面へ向かっている最中、国道からベーハ小屋が見えた。当サイトでは初めての紹介になる2連のいわゆる「夫婦窯(めおとがま)」である。もっとも私が初めてベーハ小屋を意識したのは、まだ横浜に住んでいたときに岡山県で見かけた夫婦窯だった。夫婦窯はぼんやり走っていても目にはいるほどインパクトのある建物なのだ。

写真

厳密には直列式の夫婦窯は、大棟が連結して1棟の建物のようになっているものを言うのかもしれないが、この物件は下屋は連結しているが、大棟は分離しているタイプ。

外から見ただけなので、構造は推測になるが、煙出しがガラリ板なので当サイトとしては折衷式ではないかと推測する。

(2010年09月20日訪問)