ノゥトゥディ山脈のふもとに顔だけの大仏が作られたのは、たぶん2017年ごろではないかと思う。やはりパアンっ子たちがしきりにSNSに投稿したことで知った。一種の流行り神である。
大規模な施設だから衛星写真で場所を特定するのは簡単だったが、このころは休日のない仕事が続いたため、気になりながらも行けないまま2年がすぎていた。
イサディア洞窟からの帰路でこの大仏に寄ってみることにした。このエリアにはわりと土地勘もあるので、近道して寺の裏側からアプローチした。
寺の名前はサンウェザニヤブッダガヤ。庭園がキレイなので当サイトでは「ブッダガヤ庭園寺」と呼ぼうかと思う。
この寺は東西800m、南北500mほどの広大な敷地を持ち、庭園の中にお堂や仏像が点在するスタイル。
個々のアイテムの近影だけだと全容がわかりにくいので、ドローンを持ち込んで空撮も行なった。
境内に入るとアショカ王の石柱のレプリカがあり、そこで道は三分岐している。左から講堂方面、大仏方面、ミニ大菩提寺方面へ分かれる。順路は決まっていないのだが、まず一番右のミニ大菩提寺方面へ進んでみよう。
ミニ大菩提寺の先には八曜日の守り本尊が並ぶ。生まれた曜日によって決まる、ミャンマーでの干支みたいなものだ。日本の干支よりもミャンマー人にとっては重要なものである。
手前から、ガルーダ、トラ、ライオン、、、
牙のあるゾウ、イノシシ、牙のないゾウ、ナーガ。
えっ? イノシシ?
イノシシのある八曜日って初めて見たよ!しかも7曜日分しか動物がいない!
よくよく探してみるとイノシシの足下にネズミが縮こまっている。
牙のないゾウの足下にはモルモットがいた。
モルモットの代わりにモグラがいる構成は聞いたことがあるが、イノシシが加わった構成はいったいどういうことなのだろう。
八曜日像の前には仏足石が並んでいる。
これも仏足石がいくつもあるというのは初めて見た。
八曜日像を過ぎると、博物館のような建物がある。
中にはこの庭園寺院の縮小模型が展示してあった。
ここから大仏の方へ行く。
この大仏は顔だけなのだが、おもしろいことに表と裏に2つ顔がある。
日本にも顔だけの大仏はいくつかあるけれど、両面大仏っていうのはないと思う。
この大仏の背面の顔の先には階段があり、パゴダがある。暑季でかなり暑いので、誰一人そちらのほうへは行っていない。
でも、一応行っておくか。
暑いよ~。
ただの苦行だな。
パゴダはこんな感じ。
このあたりはまだ建造中の建物があり、完成していない。
パゴダを囲むように円周上に建物がいくつか作られている。
パゴダ側から見た境内の様子。
次は大仏の表の顔のほうから階段を降りてみよう。
ここがこの寺のメインビジュアルとなる庭園エリアだ。
階段を降りたところには、ドバイのパームアイランドを思わせるデザインの植栽があって、花が植えられている。
斜面には人工の滝や噴水がある。
この乾いた山の斜面に花をさかせるには、井戸から水を汲み上げて灌水していくしかない。
ドバイとかラスベガスみたいな力技による緑化は、日本ではあまり体験することはないが、豊かさの象徴でもある。パアンっ子もこれを見て、明るい未来を感じ取っていると思う。
こういう小さなテーマパークに活気があるときが、その国にとって一番よい時代なんじゃなかろうか。
続いて、大仏から見て正面の山に登る。
こちらは谷につり橋が架かっている。
つり橋を渡り少し行くと、お坊さんを迎えるためのコテージみたいなものがあった。
そこから少し進むと寝釈迦があるのだが、もうこのあたりには誰もいない。
パアンっ子も根気がないな。
寝釈迦の前の信者の像は完成した壺から水が出そう。
ちなみに日本の場合、寝釈迦とは釈迦の入滅の姿を現す涅槃像だが、ミャンマーではただ休憩しているだけの寝釈迦もある。
見分け方は方位で、北枕の場合は涅槃像。この寝釈迦も北枕なので涅槃像だと思う。
そのほか足の重ね方でも休憩中なのか涅槃像なのかわかるというようなことも聞いたことがある。涅槃像は足の裏が揃っているという。この重ね方だと涅槃像ではないことになってしまう。
どっちなのだろう。
寝釈迦のさらに先に行くとパゴダがある。
石段がなく斜面をよじ登る感じなので、行きにくい。
このブッダガヤ庭園寺はまだ出来立てなので所々粗削りで大味なところがあるが、これから何十年かたったら少しは落ち着いてくるだろう。
(2019年02月17日訪問)