バダミャー洞窟寺

仏陀の面を貼り付けすぎた洞窟寺。

(ミャンマーカレン州パアン)

以前からパアンっ子のSNSなどで見かけて気になっている洞窟寺院がいくつかあり、そのうちの1つはパアンの近郊にあることがわかっているのだが、なかなか場所を特定できないでいた。

カレン州祭りを視察した際、地元メディアの展示ブースの若いスタッフに洞窟の写真を見せたところ情報が得られた。

その洞窟の名前は「ザバー洞窟(グゥ)」あるいは「ライスケーブ」と呼ばれていること。場所としてはヤテピャン洞窟の西のほうだが、道らしい道がなく行き方は説明しにくい、ということだった。

ラッキーッ! 画期的な情報が得られたゾ!

つまり、道なき道を進めばいいんだ! うん! わかった!

とりあえず、日曜日は仕事が昼からだったので、午前中に捜索に行くことにした。

ザバー洞窟の外観の特徴は、洞窟の入口付近は鍾乳石の大きな崖になっていること。おそらく山肌が崩落して鍾乳洞が露出したのだろう。かなり特徴的な景観なので、現地に行ったらまず山肌にその露頭を探そうと思う。

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ヤテピャン洞窟付近の地図である。

ヤテピャン洞窟の西のほうと言われても、厳密に西のほうには山岳がないので、おそらく北西方向に連なる北ヤテピャン山脈か、南ヤテピャン山脈のどこか以外には考えにくい。

すべての山を巻いて露頭を探せばいいのだが、昼前には宿に戻らないといけないからあまり時間がない。一番怪しそうな北ヤテピャン山脈を目指すことにした。

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途中の村で住民を見かけるたびに露頭や洞窟の写真を見せたが知っているという人に出会えない。

意外に探すのはむずかしそうだ。

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北ヤテピャン山脈は西側しか道がないから、まず西側を巻いて山脈を目指した。

以前に通ったときに、岩壁が見えた記憶があって北ヤテピャン山脈に目星を付けていたのだ。確かに岩壁が見えるが、どうも探している石灰岩の露頭とは違うようだ。

あとは、もし目的の露頭があるとしたら東斜面ということになるだろう。

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西側の村の中にセキュリティゲートがあった。

この道は以前にも通ったことがある。はっきり覚えていないが以前はゲートはなかったような気がする。でも民兵は常駐しておらず、特に咎められることはなく通過。

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道路状況は以前と比べて良くなっていない。

周囲は雨季に水没する湿地帯で、道路はかさ上げされている。ラテライトが客土してあるので、底なし沼みたいにぬかるむことはないだろうが、たぶん雨季には水溜まりが掘れて、オートバイで走るには憂鬱な道になるだろう。

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山脈の近くの村まで来たので人家に入って写真を見せるものの、あいかわらず情報が得られない。

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きょうは時間もないのでなりふり構っていられない。

すべての村人に聞き込みする。

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タクシーがいた!

追いかけていって写真を見せたら、

「この洞窟なら知ってる、少し戻って枝道を入れ」

おお、やっと情報が得られた。

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教えられた道がここ。

この民家でも道を訊ねたんだけどなぁ。

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露頭の崖らしきものは見えない・・・。

半信半疑だが、言われた通りに枝道に入った。

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パゴダが見えるから、とにかくあそこを目指してみるか。

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あれ? 洞窟寺院じゃん!

ここはザバー洞窟ではないけど、別の洞窟寺院を発見。

以前このあたりには来ているが、やっぱり丘陵の周囲は徹底的に巻かないとダメだな。

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パゴダが3基あり、その奥に洞窟が開口している。

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パゴダのひとつは、仏陀の小像がびっしり張り付いているという、私が苦手とするタイプ。

ひぃ~~キモいよう。

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洞窟に入ってみよう。

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洞窟にも仏陀の面がいくつも貼り付けてある。

こういうのを見ると、アレ、思い出すよね。

漫画の『デビルマン』のジンメン!

子どものころ読んでトラウマになった人が多いと思う。

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洞窟の中はもっと凄まじいことになってた。

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ひぎゃ~~~~、ヤ、ヤメテ・・・。

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洞窟の奥にはパゴダが鎮座していた。

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天井にはホイップクリームみたいなカーテン。

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パゴダの奥はまだ少し洞窟が続いているが、人間が進むにはほふく前進するしかなさそう。

風も来ないしたぶん奥は深くないだろう。

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瞑想所も造ってある。

この人面の群れを見て、心安らかになるのだろうか。

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農作業帰りのおばちゃんたちが来たので、ザバー洞窟の写真を見せて訊いてみるが、やはり知らないとのこと。

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おばちゃんたちのポシェットが何気にかわいい。

大きなハンドバッグみたいな籠の中には、生きたアヒルが入っていた。

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すぐ横に洞窟寺の僧房があったので訪ねてみた。

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アンタかあの人面を貼りまくったのは!

ザバー洞窟の写真を見せたが、この付近の山ではないということだった。

どうやら今日の探索は失敗に終わりそうだ。

(2019年11月10日訪問)