苗羽小学校田浦分校。1902年(明治35)に建てられた小学校だ。1971年(昭和46)に廃校になるまで、改修されながら使われてきた校舎が残っている。
この学校は、1954年(昭和29)に木下惠介監督による映画『二十四の瞳』のロケ地になり一躍有名になった。
『二十四の瞳』は女教師と教え子たちが戦争に翻弄される運命を描いた物語。壺井栄の小説が原作で、2回の映画化、6回のテレビドラマ化(2013年に7回目)された人気作品。
小説には学校や地名は具体的には出てこないが、原作者の栄がこの近くに生まれ育ったことから、いかにもロケ地にふさわしい場所だ。
学校のすぐ前は海になっている。とてもドラマチックなロケーションだ。
校庭内は現在は観光客の駐車場になっていて、土産物屋がある。
港町では駐車場がまったくない場合が多く、観光で行くと迷惑になってしまいがちだが、ここは駐車場の心配はいらない。
ではさっそく、校舎内を見てみよう。
玄関を入ると靴箱が並んでいる。
1間しか幅がない。狭いな。
この通路の左側はトイレ。
右に折れると、片廊下式の教室が並んでいる。
手前から1・2年生、3・4年生、5・6年生の3部屋に分かれている。
1・2年生の教室。
小学校の机って、こんなに小さかったっけ?!
大人になってから小学校へ行くと、階段やトイレなどがすっごく小さく感じる。
自分も1、2年生のときまでは学校が木造で、廊下や床の雑巾掛けしたのを覚えている。
よく見ると机や椅子にはサイズが何種類かある。
3・4年生の教室。
5・6年生の教室。
この3教室の見どころは、教壇側の壁。
1・2年生の教室は黒板の後ろが土壁になっている。(壁の裏は靴箱のある廊下だ。)ところが3・4年生、5・6年生の教室の教壇側は板戸になっている。この板戸を取り外すことで、講堂のような1部屋の建築物としても使えるという設計なのだ。
5・6年生の教室の後ろ側は、土壁になっている。
あれ? この学校、職員室がないな。
廊下の突き当たりは桟戸になっている。
この先に以前は職員室があったのか?
建物はロケなどで時代にそぐわない部分を排除したり、文化財としてエージングしてあるかもしれないので、これが閉校時のあるがままの姿なのかは不明。
そのあたりは差し引いて見たほうがいいと思う。
ちなみに、車で5分ほどのところにある二十四の瞳映画村にこの学校の建物のレプリカがある。
映画村には学校や村人の住宅などのオープンセットのほか、壺井栄の文学館などがあるので、分校と一緒に見るのがいいだろう。
(2007年10月06日訪問)