小さなお城のある農家から少し道を登ると四差路があり、そこにかなり立派な茶堂がある。
茶堂には名前が付いていて「浦山堂」という。このあたりの辻堂を編成して作った
このようなお堂を当サイトでは「
だが、徳島県での一般的な呼びかたは「四ツ堂」であろうかと思う。もし全国的なもっとも広義の言い方をすれば「辻堂」ともいえる。
しかし、中国・四国に見られるこうしたお堂は、辻堂と言ってしまうとあまりにも特徴的だし、かといって四ツ堂では宝形の吹き放ちという建築構造に縛られてしまうので、当サイトでは愛媛県や高地県での名称「茶堂」を用いている。
徳島の、特に剣山地方の茶堂の特徴は、大きな宝形の堂で、四方吹き放ち。奥側の1間のところに控えめな祭壇があるという構造。
背後から見たところ。
まさに剣山系四ツ堂の典型的な姿だ。
建物の細部を見ると、彫刻などの造りからして古い建物ではなさそう。
江戸までは行かず、明治か大正くらいかもしれない。
茶堂は単に仏像を祀るだけではなく、地域のちょっとした集まりや行事にも使われた。
現在、茶堂の横には村の集会所がある。
ここが村の交通の中心的な場所なのだろう。
浦山堂からの風景。
農家の母屋を裏側から見ている。母屋の大棟から直角に切妻屋根の部屋があり、小さな煙出し櫓を載せている。この部屋を「カマヤ」といい、煙出し櫓を当サイトでは「ウダツ櫓」と呼んでいる。
その手前の2階建ての蔵は、タバコの乾燥小屋かもしれない。中を見てみないと断言はできないが。
斜面に造られた畑。
雨で土が流れてしまうし、耕作するのは大変だ。耕耘機などは斜面からずり落ちたり、転がってしまうことがあるという。
たぶんこの地域での古いタイプの農家。
トタンがかぶせてあるが、内部は茅葺きで、軒が非常に低いのが特徴。軒が戸の鴨居よりも低いのだ。
背後の斜面にもソラの集落が見えている。
浦山はものすごい山奥の落人集落のような場所ではない。吉野川の平野部を見おろす斜面にある。
(2008年03月02日訪問)