「島」という地形では道路はだいたい海岸線沿いと、山に登る数本の道があるだけで、島内の移動経路は限られてしまうことが多い。
だが淡路島は瀬戸内海で最も大きな島というだけあって、山がちな地形にも関わらず、網の目のように道路があり、簡単にはすべての道を走り尽くすことはできない。
それでも行くたびに、なるべく違う道を走ろうと、田舎道を通っていたら、立派な寺が見えた。
これは行かねばなるまい。
参道に鳥居がいくつか見える。右側の入母屋の大屋根が寺で、左側の鵄尾の載った入母屋屋根が神社なのだろう。
寺と神社は丘陵の斜面にあるので、遠くからよく展望できる。
やっぱり遠くから見る寺はいいね。
寺の屋根、特に入母屋屋根はパースが掛からないアングルで見たときのほうが美しいから。
でもどうしても、現地に行くとこんなふうに寄ってしか撮影できない場合が多い。
軒を見上げる形で写真を撮ると、その建物の美しさは半減どころじゃなく損なわれてしまうと思う。
でもこの竜宮門の屋根はちょっとぼてっとしていて、棟が低いので軒を見上げることを前提にデザインされているのかもしれない。
二階の欄干によく見ると小さな四天王が置かれている。
ということは、この山門は、竜宮門の鐘楼門の四天門と説明できる。
この竜宮門は2階が鐘楼になっている、いわゆる鐘楼門。ただし2階には上れず、垂れ下がった紐で撞木を操作するようだ。
山門をくぐって右手には三十三観音堂がある。
中に入ってびっくり!!
なんと巡礼堂形式の三十三観音堂だった。
「巡礼堂」とは、参拝者が決められた順路を通りながら観音霊場の本尊を巡るというもの。
その究極の形態はさざえ堂だが、もう国内に未知のさざえ堂が見つかることはほぼ期待できない。だが、その簡易版である巡礼堂は、いまでもこうしてときどき見つけることができる。
その意味では、さざえ堂マニアにとって望みうる最高の幸福は巡礼堂を新たに発見することだといっていい。
順路は凵型で、あまり複雑ではないものの、明らかに順路が形成されている。
いや~、ひさしぶりにいいものを見せていただきました。
観音堂を過ぎると参道は茶室と書院に突き当たり、クランク状に本堂へ続いている。
庫裏は、お寺の庫裏としてはちょっと違うけれど、近代日本の住居を代表する数寄屋造りの意匠。
書院の横は石庭になっている。
建物などがまだ新しいし、境内もよく整備されていて気持ちがいい。
本堂も新しい。
築1年くらいかもしれない。
右側に玄関と事務所、その奥に客殿と思われる建物がある。
戸が開いていたので中に入って参詣。正面は本尊で厨子が閉じられているので秘仏かな。
前仏として多宝塔が置かれているので、本尊は大日如来かもしれない。
御祈祷のための座布団。仏具などが揃っているので撮影してみた。
本尊の右側には弁財天。
この寺は、淡路島七福神巡りの4番札所になっている。
弁財天は、八臂宇賀神弁天で、8本の手を持ち、頭上にヘビを載せている。
厨子の裏側には珍しい仏龕。
ハスの葉の上に小さな仏像が載っているというもの。
こちらは弁財天お前の護摩壇の祭具。
並べ方が曼茶羅。
ロウソク立ての間の花形のトレイの上にあるのは、
とりあえず写真を撮っておく。
山門の前には、土産物屋か茶店のような建物があるが営業していなかった。
(2004年12月30日訪問)