きょうは昼飯でも食べようかとふらりと出かけたまま今治まで来ている。ほとんど無目的に車を走らせていたが、15時近くになってから思い立って「タオル美術館」という観光施設を目指した。
到着したときは16時をまわっていた。
ここは「美術館」という名前が付いているけれど、基本的にはミュージアムショップが主体のタオル販売所である。
当サイトでは基本的に博物館や美術館はあまり積極的に紹介していないのだけれど、このタオル美術館の有料見学コースの途中に、紡績から製織までの工程が動態展示されていたのでその部分だけを紹介しようと思う。
見学コースの途中のタオル作品の部分はたしか写真撮影禁止だったと思うが、動態展示の部分は撮影可。
さて、タオルは基本的に木綿で織られている。つまり綿花(原綿)から紡績で作られた糸が原料だ。その紡績の工程の機械が展示されているのだ。
最初にあるのは「
たぶん、梳綿機に投入する前の原綿をほぐす混打綿という工程も機械があるはずなのだが、その部分は展示されていなかった。
また、紡績全般でいうと梳綿工程の次にコーミングといって、短繊維を取り除いてさらに繊維を整える工程もあるが、タオルで使う20~40番手くらいの糸だとその工程は必要ないのだろう。
スライバーが次に送られるのが「
スライバーを何本か合わせることで、太さのムラを平均化する工程。ここでは7本のスライバーを合わせていた。
練条はスライバー合わせて太くするといことではない。送り出すスピードの7倍で引き出せば、素材の太さは変わらずにムラをなくすことができる。
練条されたスライバー(練条スライバー)が次に行くのが「
ここで初めてワタに弱い撚りがかかり、「
下側のボビンから上側のボビンに巻き直されるとき、送り側のボビンが回転しながら長手方向に繊維を引き出すという、撚糸機械の基本的な仕組みのものだ。
次に送られるのが「精紡機」。
ここでさらに粗糸を引き延ばしながら撚りを入れる。これは上側のボビンから下側に巻き取る方式の、「リング精紡機」というタイプの機械。
粗紡機とは逆に、送り側のボビンは静止している。ローラーでゆっくりと引き出された粗糸が、高速で回転する受け側のボビンに長手方向からゆっくりと巻き取られることで撚りが入る仕組み。
次に、精紡機で細いボビンに巻かれた「管糸」をチーズ巻きという太い巻きにする「捲糸機」があったけれど写真を撮り忘れ。
その先には合糸、撚糸、精練、染色やら整形などのかなりの工程があるはずなのだが、それらの展示はなくジャガード織機が並ぶコーナーへ。ここはたぶん製品になるタオルを実際に生産しているライン。
タオルには「パイル」といって、タテ糸が飛び出したループ状の構造があるけれど、それがどういう機構で出来ているのかなどはよくわからなかった。
もっと粘り強く観察すればよかったなと、今にして思うけれど、やっぱり初めて見る機械だと、どこを見るべきなのかというのがわからないものだ。
その先にはたくさんの色糸が並ぶ休憩所。
タオルで出来た動物園などがあった。
実を言うと、美術作品の展示部分は期待していたほどではなかったのだが、後半の機械展示が面白かったので、来て良かったと思う。
また少し時間を置いて見に来たら、発見があるかもしれない。
(2007年03月17日訪問)