埼玉県の越生町。きょうはドングリを拾いに来たのだが、その前に黒山三滝へ行ってみることにした。
この場所は以前に紹介した飯能戦争に敗れた侍が最期を遂げた場所でもあり、そこを訪れるというのももう一つの目的だったからだ。
黒山三滝とは、3つの滝がある景勝地。
無料の駐車場は十分にあるが、そこから滝までは1km弱、きびきび歩いても15分くらいはかかる。
車両進入禁止の看板がある場所から奥にも有料駐車場の看板があるけれど、あまり近くなるわけでもないから町営の駐車場にとめていくのがいいだろう。
昭和の時代に観光地として栄えたのか、茶店が7軒ある。
ここは営業していないが、現在でも4軒が営業している。
一番きれいな茶屋。
コンクリで出来た文字オブジェ。
すっごく東南アジアっぽい。
そばやうどんなど食事メインの茶屋。
その隣りには予約制のレストランがある。
ここから先は川に沿った道をひたすら歩くことになる。
工事現場みたいなものが見える!
弁天宮を建設中だった。
いや、すでにこれで完成形なのかもしれない。
道路は傾斜が続いているものの、きれいに舗装されているし、車道特有の無駄なカーブなどはないので歩くのはそれほど大変ではない。
途中にある釣り堀。
たぶんcovid-19の関係で閉まっているが、今でも営業してそう。
釣り堀を過ぎて100mくらい行ったあたりにあるしもた屋。
途中途中の茶屋の経営が成り立つくらい観光客が来た時代があったのだろう。
茶屋を過ぎると、三滝のひとつ「天狗滝」が左手に見える。
この滝は道から眺めるときが最もよく見える感じだ。
石段があって滝の近くまで登れるが、近づくと手前の岩が立ちはだかってかえって視界がなくなる。
三滝の中ではこの滝が一番立派なんじゃなかろうか。
滝へ登る沢の自然石。
チャートが主かな。
途中、林道へ登る分かれ道がある。
誰だよ、イノシシの頭骨置いたの!
怖いじゃん。
お神酒を捧げたツトかな。
全く読めない御札が下がっていた。
滝が近くなってきた。
最後の茶屋。
観光地の土産物屋はこうじゃなきゃ、というくらいの完成された茶屋だ。
参道に屋根をかけてあるっていいよね。
関東山地の修験寺の参道の茶店にありがちともいえる。
夏だったら間違いなくかき氷食べてると思う。
この茶屋に気を取られてしまいがちだが、茶屋の反対側に急な石段があり、登ったところに簡素なお堂がある。
実は、私はこのお堂が気になって、学生時代に4回この滝を訪れている。
そのことに触れておこう。
初めてここに来たのは、龍穏寺と黒山三滝を巡るご当地定番の観光だ。私はその当時、大学生で川越に住んでいた。
このお堂の裏手を歩いていると、堂内からシンバルかドラみたいな楽器を打ち鳴らして祈祷を上げる音が聞こえていたのだ。
それはこの看板にある占いの祈祷だったのかもしれない。でもそのころは私も若かったし、はっきりと確認しなかった。
ただ、祈祷をあげていたのは女祈祷師のようで、その様子が尋常ではない印象を受けた。もっと有り体に言えば「これ、韓国の
インターネットなどない時代だ。ムーダンの占いがどんな所作なのかなど、すぐに調べられるわけではない。
でも下宿に帰ってから、やっぱり確認すればよかったと後悔し、次の日にもう一度訪れてみた。
だがもうお堂には人の気配がなく、その祈祷が実際はどんなものだったのかはわからずじまいとなってしまった。
祈祷を見たのは3月21日だったので、それから2年間、春の彼岸の日にこの場所を訪れたのだった。しかしあれ以来その祈祷を見ることはなかった。
なにせかなり古いことなので、いろいろと妄想が加わって、ありもしない記憶が作られてしまったのだろう。そんなふうに考え、いつのまにかこの場所のことは忘れてしまっていた。
で、いまあらためて戸の隙間から中をのぞいて見た。
「ん? なんか‥‥朝鮮ふうの提灯が下がってるんですけど!??」
お堂の裏手に鎮守社っぽいものがあったので、登ってみた。
鎮守社じゃない!
韓国仏教の山神閣だよね? ローソクにはハングルが書いてある。
ウソから出たマコトみたいなことになってきた。
学生時代のおぼろげな記憶は、やっぱり韓国の巫俗だったんか?
あらためて、Google先生に聞いてみたけれど、黒山三滝のお寺が韓国と関係しているというようなことを書いている人はいない。
ただ『水の声を聞く』という2014年の映画の中で、黒山三滝に済州島系のシャーマニズムの道場があるという設定があったようだ。ということはロケもあったのか?この山神の祠は映画の大道具が残されたものなのだろうか。
だとしても、私が祈祷を見たのは1980年代なので、映画の撮影現場を見間違えたということはありえない。
ますます訳がわからなくなってきた。
映画借りて見てみようかな‥‥。
さて、滝である。
山神閣から太鼓橋を通って滝のほうへ降りられる。
この先に、黒山三滝の残りの2つの滝がある。
滝はつながっていて、手前が「女滝」、奥が「男滝」。
途中にあった天狗滝と合わせて、三滝となる。
下流にあるのが女滝。
男滝は堂々とした立派な滝だ。
滝つぼの濡れるようなところにローソクがともしてあった。
お酒が奉納されてある。
ご神体は宇賀神みたいだ。
男滝の裏側にもお酒が奉納されている。
こういうふうに滝の中にお酒を奉納しているのって他にもあるのだろうか。
謎が残る滝だった。
これでここに参詣するのは都合5回目だ。
参道は片道15分だけど、これ以上、何度も通りたくない。
(2021年10月06日訪問)