馬路温泉のインクライン

水の出し入れで稼働するケーブルカー。

(高知県馬路村馬路)

初日は馬路村(うまじむら)に宿泊して明くる日。

馬路村といえば、ユズを使った第六次産業を成功させた村として有名。かなり辺鄙なところだけれど、町おこしがうまくいっているせいか、過疎の村とは違った明るさが感じられる。

四国にはいくつか町おこしが成功したとされている場所があるけれど、要領のよいコンサルが経済誌にストーリーをねじ込んだだけなんじゃないかって感じる事例もあったり、他の自治体から視察に来ているのが成果みたいな実のない案件もあるような気がしているのだが、馬路村のユズ産品は確かに全国区で見かけるし、それだけの量を販売しているということは単なる補助金事業ではなく、それなりに軌道に乗っているのだろう。

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宿泊した宿の向かいに「インクライン」と称するものがあった。

いや、これ、どう見てもケーブルカーでしょ? インクラインってのは荷物を運ぶもので、人間を運ぶものはインクラインとは言わないよね?

まぁ確かに鉱山なんかで従業員が出勤するときにふもとの道路から貨物用のインクラインを使ったなんて話は聞いたことがあるけれど、これは座席しかないから絶対にケーブルカー!

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看板に以前の写真があった。これは確かにインクラインと言っていいもの。

場所はここではないんだろうな。

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搭乗料金は往復300円ということなので、乗ってみることにした。

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このケーブルカーは床下に水のタンクがあって、その水の重さで山麓駅まで下がっている。

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タンクから排水することでカウンターウエイトのほうが重くなり、ケーブルカーが引き上げられるという仕組み。

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料金を払うと運転手のおじさんが来て排水の操作をしてくれる。300円でこの仕事をしていたら採算はまったくとれないけれど、これは村の事業なんだろうな。

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山頂駅は小さな展望台になっている。

山頂駅までの標高差は50mくらいはあるか。もし歩いて登ったら息が切れる。

学校や役場のある村の中心地だ。山すそにはユズの段畑が見える。

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運転席。

操作は排水用のバルブとフットブレーキだけか。

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山頂ではタンクに水を補給して折り返す。

かつては木材の重さを利用していたという。

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すぐ近くには森林鉄道をイメージしたミニSLの遊具もある。

さすがにちょっと子ども向けすぎるので乗らなかった。

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ルートは公道の道ばたに続いていて、谷川に沿って一回りするようになっている。

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高知県から徳島県にかけての山岳地帯は日本一の多雨地帯で、水を好む杉の生育に適している。上流部分には魚梁瀬(やなせ)杉と呼ばれる銘木の産地がある。かつては本物の森林鉄道があったのだ。

上流の魚梁瀬には動態保存された機関車が走る公園があって、今回は行かなかったのだが、ここと記憶が混同しがちだ。

(2012年03月19日訪問)

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