魚梁瀬森林鉄道跡①

馬路村〜安田町に残る隧道と橋梁。

(高知県馬路村馬路字高尾)

馬路村(うまじむら)の上流部に魚梁瀬(やなせ)という地域がある。銘木を産出する四国を代表する杉の産地だ。村はダム湖に沈んでしまって高台に移転したので往時の面影はないが、千本山という杉の天然林があり以前に見に行ったことがあった。(そのあと、魚梁瀬ダムから徳島県の海陽町へ抜ける林道を通ろうとしてエライ目に遭ったのは苦い思い出・・・)

移転した魚梁瀬地区の中央には公園があって、森林鉄道が動態展示されている。かつて海岸沿いの奈半利町(なはりちょう)から奥山の魚梁瀬まで森林鉄道が続いていたのだ。支線も含めて総延長は250kmにも及ぶ大規模な森林鉄道だった。幹線は北川町側の奈半利川線と、馬路村側の安田川線の2本があり、その遺構は2009年に国重文に指定されている。

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宿泊した宿の近くにパン屋があり、その裏手になぜかレールが敷設されていた。

➡ 場所

もしかしたら魚梁瀬で動態展示されている機関車が仮置きされたことでもあるのかな。

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同じ場所では、古いレールと思われるものが側溝のフタになっていたりした。

これは本物の鉄道のレールじゃないかと思う。

馬路村ではかつては安田川を利用して木材を搬出していたが、需要に輸送が追いつかなくなり鉄道が建設された。鉄道が作られた明治末には動力のない貨車が下りの傾斜を利用して手押しで走行し、登りは空荷で牛や犬などに貨車を引かせたという。

現在の村内の道路はその鉄道の跡地と重なっている部分が多い。馬路村の役場などがある中心地から奈半利町まで、下流方向に廃線の跡をたどってみよう。

村外れの道路の下に五味(ごみ)隧道という、国重文の構成資産があった。

➡ 場所

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馬路村の森林鉄道遺産で一番ビジュアル的に見事な場所なのだが、トンネルの土被りが少ないので現在は内部は埋め戻されて通行はできないという。

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枕木とレールが残っているように見えるが、これはたぶん国重文に指定されたことを記念して復元したものだろうと思う。

魚梁瀬森林鉄道が廃線になったのは昭和38年(1963)なので、こんな状態で残っているはずがない。

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続いて、五味隧道から3kmほど下流に行ったところにある平瀬隧道。

➡ 場所

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坑口にトンネルの番号を表すローマ数字の「Ⅴ」があるというがよくわからなかった。

この「\」みたいなくぼみかな?

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幅は3mしかなく、とても狭く感じる。

トンネルの全長は70.6mとのこと。

内部は歩いて通ることができる。

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平瀬隧道の南坑口。

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平瀬隧道から1.5kmほど下流に行ったところにある釜ヶ谷橋。

➡ 場所

村のパンフレットによればこの橋も国重文の構成資産らしい。

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現在はプレートガーダー橋に掛け変わってしまっているが、橋の両端の石積みの擁壁は当初のまま。

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釜ヶ谷橋のすぐ南には、釜ヶ谷桟道というものがある。桟道とは、橋と似ているが崖のキワに棚のように作られた道のことだ。

➡ 場所

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この桟道は石造アーチ橋のような構造で、かなり見ごたえがある。

ただ、道路からは見えないので河原に降りる必要がある。

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釜ヶ谷桟道から5kmほど下流にある、明神口橋。

➡ 場所

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橋長は43.2m。

当初は木造トラス橋だったが、昭和4年、機関車の導入にあわせ鋼製トラス橋になった。

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現在は軽自動車以下通行可。

「以下」ってことは軽自動車は通っていいってことか。

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明神口橋のすぐ南にある、オオムカエ隧道。

➡ 場所

北坑口は崩落でもあったのか、補強されている。

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全長36.7m。

南坑口。南半分だけが国重文に指定されている。

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トンネル番号の「Ⅲ」のマークははっきりわかった。

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アーチのキーストーンは額縁付きの駒型。

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オオムカエ隧道から南の廃線跡は舗装されているので、軽トラくらいなら通行できる。

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オオムカエ隧道から1.5kmほど下流にある、バンダ島隧道。

➡ 場所

こちらは北坑口。

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南坑口。

全長は37.5m。

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刻印は「Ⅱ」になった。

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字、与床付近にあった無名の橋。特に文化財の構成資産には含まれていないし、擁壁も新しそうだけど念のため写真撮っておくか。

➡ 場所

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バンダ島隧道付近の廃線跡。

ここからは普通自動車も廃線跡を走行できる。

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朽ち果てた登り窯があった。

➡ 場所

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バンダ島隧道から2kmほど下流にあった、エヤ隧道。

➡ 場所

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エヤ隧道の北坑口。

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刻印は「Ⅰ」。

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内部は車両が通行できなくもないが、横に車道が並走しているので無理に中に入る必要はない。

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エヤ隧道の南坑口。ここが最も下流のトンネルなのだろう。

ここまでが山間地の遺構になる。平野部の遺構はページをわけて紹介する。

(2012年03月19日訪問)

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