⿓河洞

日本三大鍾乳洞のひとつ、鍾乳石は見ごたえがある。

(高知県香美市土佐山田町逆川)

四国を離れることが決まり、引越しまでの残された最後の時間で、高知・宮崎・大分・愛媛を旅することにした。10日間にもなる長い旅がこれから始まる。

旅の初日は早いうちに徳島の家を出たが、県西でお世話になった人たちに結婚と引越の挨拶をしながらの移動だったので、最初の目的地⿓河洞に着いたときには13時を過ぎていた。

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⿓河洞は日本三大鍾乳洞のひとつとされているが、訪れるのは初めて。

三大鍾乳洞の残りの2つは、岩手県の龍泉洞と山口県の秋芳洞なので、これで三大鍾乳洞はコンプリートになる。

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駐車場からは土産物屋街が続くが、平日ということもあって閉まっている店が多い。

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観光鍾乳洞って、土産物屋街も楽しみのひとつなので、じっくり堪能しながら洞口へ向かいたい。

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この門前で目立ったのは手裏剣!

これは軟質の子供用のおもちゃ。

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こちらには金属製の手裏剣も売ってる。

日本の忍者はどちらかというと海外で人気で、最近ではアニメ『ナルト』もヒットしているから忍者グッズは外国のお土産によさそう。

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スティーブジョブスがお忍びで京都に遊びにきたとき、手裏剣をお土産に買って、関空の手荷物検査で止められて没収されたという噂が有名だ。当然、ジョブスはプライベートジェット機を使っていたから手裏剣を持ち込んでも問題はないはずなのだが、どうやら関空の手荷物検査は一般と同じところを利用しなければならないらしい。

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手裏剣にもちょっと心が動いたが、私はこのときは壺屋という刃物屋さんでちょっといい剪定バサミを購入した。一般的な剪定バサミとは握りの部分のカーブが逆になっていて、腱鞘炎になりにくいハサミなのだという。半信半疑だったが実際使ってみると私にはすごく合っていていまも愛用している。

高知県は土佐の刃物が有名で、香美市、南国市あたりに刃物屋さんが多く、壺屋は⿓河洞に店を構えている。

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お土産物屋さんは全部で10軒くらいあったかな。

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さて、いよいよ鍾乳洞へ。

エスカレーターが時代だなあ。すっごく観光地っぽい。

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洞口に到着。

洞口には神社があり、土御門上皇が四国に流されたときこの鍾乳洞を訪れたことにちなむ神社だという。⿓河洞の名前は、天子が行幸に使う「龍駕(りょうか)」に由来しているという。

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洞内の案内図。

主洞は西本洞、中央洞、東本洞の3つからなり、全体としては4kmほどが確認されているが、観光化されているのは東本洞の半分程度。

赤線のルートが一般の観光ルートで、青線は冒険コースという特別料金が必要なルートになっている。冒険コースは要予約。

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入洞して最初のあたりは水が流れ出ていて、細いキャットウォークを進んでいく。

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このあたりは狭くてちょっと圧迫感はあるけれど洞窟サンゴみたいな二次生成物がある。

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飛龍の滝という小さな滝があり、階段で滝の上へ上る。

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記念の滝。

東本洞は吹き出し穴なのかな。

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明治時代に僧がここに3週間こもって瞑想したという。

修験者が鍾乳洞のかなり深い場所へこもって修業したというのはほかでも聞いたことがある。

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このあたりからは鍾乳石やフローストーンなどが豊富になってくる。

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天井までつながった石柱。

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竜宮城と呼ばれる支洞は鍾乳石がもっとも美しいところだが、金網があるのがちょっと残念。

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カラー照明も観光洞らしくてGood。

昭和っぽい発想だけど、個人的には好き。

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流礫棚。

鍾乳洞の中に溜まった砂礫の表面に鍾乳石が形成されたあと、下の砂礫が流失して薄い床になったもの。

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後半は登りが続く。

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天井も高く広い空間になる。

このあたりが⿓河洞の最大の見ものかもしれない。

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日本三大鍾乳洞の名に恥じない雄大さ。

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冒険コースから出てきた一団がいた。

このコースは予約制で追加料金が必要で、服が汚れるので着替えをもってくる必要がある。そういえば勤めていた会社のOLグループがこのコースに挑戦しに行ったって話聞いたことがあるな。

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石筍を七福神に見立てた支洞。

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出口付近には穴居遺跡がある。

弥生時代に人が住んだ跡だという。

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出口は入口よりも少し高い場所に出てくる。

周囲は照葉樹林。

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石灰岩地形に特有の植生になっているという。

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下りは徒歩になる。

テントと天井の扇風機が時代を感じさせる。

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帰り道には珍鳥センターと⿓河洞博物館という施設がある。いずれも入場無料。

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無料ということであまり期待していなかったのだけど、珍鳥センターはニワトリのような飛ばない鳥を中心に展示していて面白かった。

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土佐といえば尾長鶏。尾が長すぎて地表で飼うと尾羽が擦れてしまうのだろう。独特のケージが興味深い。

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珍鳥センターを出ると、岩石園がある。

石灰岩の違いの展示などがありマニアック。逆に言えば、ほとんどの観光客にとっては「何これ?」って感じで素通りされそうな展示だ。

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四国の地質がどのようにできているかの原理が説明されている。四国って東西に細い地質帯がいくつもあって、南北方向に見て行くと石の種類や景観が地質帯ごとに変わるから、日本列島が付加体だというのがすごく実感しやすい。

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基本的な石の種類、覚えておきたい。

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展示館の中にはジオラマもある。

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昔の学習図鑑なんかにあった懐かしい原始時代の狩りの様子。

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洞窟真珠、洞窟サンゴ、石灰花など⿓河洞で採取された二次生成物の見本が見られる。

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ひとつひとつに説明をつけてくれたら、もっと興味深く見れるのになぁ。

この日は天候が雨がちで、あまり観光向きの日ではなかった。

このあと安芸市で野良時計や町並みを少し見学したのだが、そのことは以前の野良時計の記事に追記しているのでここでは書かない。そのまま馬路村へ移動し、1日目は馬路村に宿泊したのだった。

(2012年03月18日訪問)