四万十川はあいかわらず蛇行を繰り返しているが、川の風景は次第に下流の穏やかな様相を見せてくる。
河道に岩が目立たなくなり、広い砂利の河原が続く。
岩間沈下橋はそんな広い河原に作られた橋だ。
これまでの沈下橋の多くは橋脚がコンクリート製だったが、ここに来て鋼管の橋脚を持つ橋が現れた。橋桁も分厚く、かなりしっかりした沈下橋だ。
これは右岸側の風景。
きれいな河原の中に取り付け道路が続いていく。
左岸側を見る。
橋の中央にカッターで切り込んだような跡がある。水道管でも渡しているのかな。
この橋はこれまで見た沈下橋の中で、両岸の風景が最も美しい橋だ。
気になったのは左岸の取り付け道路の坂の途中が桑畑になっていることだ。
高知県の養蚕農家は四万十川流域にわずかに残っているというような話を訊いたことがあるがここがそのひとつなのか。
でも3月で枝を短く切り戻しているのは春の飼育には使わないということだから、もう養蚕はやめて桑茶などの他の用途に使っているのかもしれない。
上蔟室と思われる建物も見える。
下のオレンジ色のバラックが蚕室だとしたら、かなり大規模な養蚕農家だったのだろう。
訪ねてみたい気もしたが、きょうは九州への旅路を急がねばならない。
振り返ると、美しい山里の風景が遠ざかりつつあった。
四国を離れることが決まって、もうこの風景を見ることはないかもしれないのだ。
(2012年03月20日訪問)