瀬口の石風呂

2段式だったというが埋もれてよくわからない。

(大分県豊後大野市朝地町池田)

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神角寺から下山し、ふもとの豊後大野市へ。先ほどまでの横殴りの雨も山麓では降っておらず、晴れ間が覗いている。

このあたりに「瀬口(せのぐち)の岩風呂」と呼ばれる石風呂があるということなので探してみた。

石風呂とは、石組みや粘土などで作った室の中で火を焚いて加熱し、火を掻き出したあとに人間が入る一種のサウナ風呂である。今回、豊後大野市周辺にある石風呂を可能な限りチェックするつもりだ。

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「探す」といっても手がかりらしきものはまったくなく、ウロチョロするばかり。ある行き止まりの農家で聞き込みをしてみると、知っているというお母さんがいて案内してくれることになった。

ただ、最後に行ってから何十年も確認しておらず、イノシシが山を掘り起こしているので、残っているかどうかはわからないとのことだった。

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人工的に作られた洞穴がある。

でもどうも石風呂というには小さすぎるようだ。

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お母さんの記憶ではこれではないかというくぼみ。

この場所を調べるときに参考にした書籍『豊後の石風呂』(入江英親著)の該当するページに、写りの悪い白黒写真が載っているが、なんとなく面影が似ているような気がする・・・。書籍自体が昭和55年の出版で、そのときすでに跡が確認しにくいようなことが書いてあるので、無理もない。

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もしこれがそうであれば、入口のほとんどは埋もれていることになる。

この石風呂は2段式で、下段が火室、上段が浴室になっているそうだが見えているのは上段の入口の天井付近と思われる。

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山ぎわには石組みがあるので、ここは元々は山林ではなく段畑か、民家があった場所なのではないかと思われる。

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詳細な座標はページ右上の地図をクリックしてもらうとして、言葉で説明するならは市万田川の北崖線の田んぼのなかの墓地を目指し、その裏手の⬇の辺りである。

このあと岡城へ行ってみたが天候が悪くなったので、きょうの観光は途中で取りやめた。旅が6日目に入り、コインランドリーで洗濯をしたかったし、今夜の宿もまだ決まっていなかったからだ。

洗濯をしながら宿に電話をかけ、竹田市内の「ホテル岩城屋」と赤川温泉の「赤川荘」の2泊分の宿を予約した。どうも石風呂探しには時間がかかりそうな予感がする。

夜は外湯で、郊外の宮城温泉出会いの湯に行ってみたが営業時間が終わりかけで、ホテルの近くのスーパー銭湯「月のしずく」へ入ったのだった。

(2012年03月23日訪問)

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