岡城(竹田城)にやってきた。きのう訪れたのだが天候が悪かったのできょうに予定を変更してよかった。風は冷たいけれど城跡を歩くにはよい天気になった。
岡城は細い山脈の上に築かれ、山脈の両側は稲葉川と大野川に浸食された断崖。唯一の入口となるのは城下町のある西側だが、そこも狭い谷や堀切りでガードされた難攻不落の立地だ。
これまで見た名城とされているところは、「いや、こっちから攻めたら平地じゃん!?」みたいな城がけっこうあった。でもこの岡城は本当にどうにも攻めにくい城だというのが如実に感じられた。
まぁ私は城跡はあまり好きなほうではないので、色々な城を見てみないとわからないのかも知れないが。
入場料200円を払って場内に入ると、2~3軒の土産物屋がある。そこでカゴや楊枝立てを購入した。
そのお店で耳寄りな情報を聞いた。
「この先に観光客のほとんどが左に行く分岐があるが、左へ行くと本丸の方へは行けないから、必ず右へ行け。」
なるほどね、城内に攻め込んできた敵兵が本丸への最短ルートと思って間違った場所に誘い込まれちゃうっていうアレか!
これがそうか!
大手門が見えるし、誰もが左だと思うよね。
そして、右のほうはまったく観光地っぽくないし、これがおじさんの言っていた真ルートなのかな。
曲輪の跡とか足軽屋敷の跡とかいろいろある。
にしても、整備されていない薮ばっかりで、城好きじゃないとぜんぜん面白くないぞ・・・
そして道は自動車用の舗装道路なので、谷に沿ってうねうねとカーブしていて、歩けども歩けども距離が稼げない。
途中、天然記念物の火砕流の路頭みたいなものを見たり・・・
城の石垣を見上げたりしているばかりで、本丸に近づくどころか遠ざかっている気がする。
かれこれ30分ちかく歩いている。
おかしい。いくらなんでも。
私たち以外、まったく人がいないし・・・
入場料を払ったときにもらった絵図を改めて見てみると、城の見学ルートはオレンジ色の道で、いま私たちは小豆色の車道を歩いて、城の東端まで来てしまったようなのだ。
土産物屋のおじさんが言っていたのは、城内の花壇の左を歩くか右を歩くかという程度のすっごくミクロな話だったのだ! おじさんの意見を聞かなければ、1/5くらいの時間で本丸まで行けたはず!
でもここまで来ちゃったら、戻るのも大変なので城の縄張りの東端まで歩いた。
縄張りの東の要、
岡城は山城で元々は東側に城下町があり、この門が正門だったのだという。現在、その古い城下町の名残はあまり感じられない。
やっと城跡らしくなってきた。
ここはたぶん御廟跡といわれるあたり。
本丸はだいぶ先に見える。
かなり行き過ぎてしまっているのだ。
三楽亭跡というあたり。
後ろから乗用車が来た。竹田城は石段が多いので、足の悪い人は入場料を払ったあと、自家用車で本丸方面へ登っていいようなのだ。私たちが歩いた車道は、そのためのルートだったのだ。
「曲輪はすべて確認! 山城は薮漕ぎしてナンボ」みたいなガチ勢も、薮漕ぎポイントまでは乗用車で移動するのが吉だ。
清水門跡。
縄張りの北側にある門で、この先は地獄谷という崖になっているから登城するための登山道はたぶんない。
東中仕切という桝形に到着。
乗用車で来れるのはここまでで、この先は本丸になる。
やっと本丸まで来た。
長かった・・・。
本丸の石積みはとても立派。
土坡の城だったとしてもかなりの防御力があると思うが、それにこれだけきっちりした石垣を積まれると、取りつくのはほぼ不可能だろう。
二の丸。
北側には滝廉太郎の銅像が置かれている。
太鼓楼跡。
時刻や火災などをしらせる鼓楼があったという。
西中仕切という桝形。
ここまでで本丸エリアは終わり。
普通の観光客と逆順の紹介になってしまっている。
滝廉太郎は「荒城の月」を作曲する際、富山城と岡城をイメージしたという。
特に塀や櫓などがなく高い石垣だけが積まれているこの侘びしい風景こそ、荒城の月のメロディにふさわしいと思う。
大手門付近の朱印状倉跡。
土産物屋のおじさんが右に行けと言ったのはこのあたりのことで、ここから左に行けば西の丸、右に行けば本丸ということだったのだ・・・でも案内板もあるし、間違う人はあまりいないと思う。
大手門の石積みは一番見ごたえがある。
岡城は山城だけど、石の城としてもスゴイ。
このへんはさすがに石積みの文化の濃い地域といったところ。
本来は西の丸へ行くべきなのだが、無駄に車道を歩かされ、寒風で体が冷えきったのでこのまま大手門から下ることにした。
大手門の石段の手すりはカマボコ型に積まれて、無駄に美麗になっている。
なんか日本離れした感じの石積み遺構だ。
本来の観光ルートは、土産物屋を過ぎたら素直に大手門前の石段を登り、本丸方面を見たのち、大手門まで戻り、西の丸方面へ行き、西の丸から駐車場へ下るというものだ。
くれぐれも車道を歩かないように注意しよう。
(2012年03月24日訪問)