緒方川の原尻の滝の周辺は石風呂銀座といってもいいほど石風呂が密集している。
「隣の集落が造ったから、ウチも造ろう」という感じで、競うように造ったのではないか。この「原の石風呂」がある集落「原尻」には、次に訪れる上戸の石風呂もあるから小字に2つも石風呂があることになる。
もっとも1つの石風呂に入れるのは4~5人程度だから、ひとつの小字で共有したとしたら利用できるのは2週間に1回くらいとなるから、ブーム時には想像より多くの石風呂があたのかもしれない。
今回探した石風呂だって、県外からの物見遊山の観光客が回れるものばかりだから、ねちっこく探せばまだあるだろうと思う。
この原の石風呂は、原尻集落から段丘崖を少し登った斜面の高いところにあり、これまで見てきた石風呂に比べると土被りが少ない感じがする。
洞口には用水路が引かれている。この用水路が造られたのは明治30年ごろで、石風呂はそれより後造られたという。石風呂は大正5年ごろまで使われたといい、比較的新しい石風呂といえる。
内部は2層構造で焚き口はっきりとわかる。
気になるのは、入口の両側に枠のような構造があること。もしかして扉があったのではないかな。
ここも中に石がたくさん入っている。火道の熱をこの石に蓄積したのだろうか。
石板の床があったようには思われない。
内部には4寸の角材の枕があり、寝そべって利用した。また汗をかいたら外に出て水をかぶったという。
前に水路があるから都合がよかったろう。
近くには地蔵菩薩が祀られていた。
(2012年03月25日訪問)