上戸の石風呂

目の前の川に飛び込んで汗を流しただろうと想像できる。

(大分県豊後大野市緒方町原尻)

写真

緒方町で訪れる最後の石風呂になる「上戸(うえど)の石風呂」。

先ほど訪れた原の石風呂と同じ字にあるが、原の石風呂が段丘崖の上にあったのに対して、ここ上戸の石風呂は河原にある。

写真

川が急カーブしている岬のようなところにあり、見学用の歩道が整備されている。

その歩道を回り込んでいくと、、、

写真

大きな岩の割れ目にできたトンネルが目に入る。でもこれは石風呂とは関係ない。

石風呂は歩道から川の方へ降りていった場所に開口している。

写真

川の水が洗うすぐそばに開口している。

これまでも石風呂は水場の近くにあることが多く、風呂から出て水を浴びていたのだろうという想像はできたが、ここは間違いない。風呂から出て、直接川に入れるという立地なのだ。

もちろん川に近すぎてちょっとでも増水すれば利用不能になっただろう。

写真

入口の上部は三角形に切られていて、意匠的。

入口の下には焚き口が確認できる。

写真

内部の火道は魚の骨状ではなく、扇型というか放射状になっているというがよくわからない。

火道の上に置かれている平たい石は、失われていたものを復元のために設置したものだという。

写真

大正10年ごろまで利用され、5~6人が同時に入れたという。

写真

近くにはお茶を入れるためのカマドがあったというがわからなかった。

それと石風呂に敷くという石菖も生えていいるのは見つけられなかった。

写真

石風呂の上部にある割れ目の横には階段があって上に登れる。

写真

上には石祠に入った地蔵菩薩が祀られていた。

写真

割れ目はトンネルのように見えるが、奥は深くない。

写真

文化財の看板。

緒方町で見た石風呂はここまでで13ヶ所。1ヶ所は怪しい物件だったが、逆に探して見つけられなかった場所もあるので、探せば文化財の看板に書かれている11ヶ所よりも多くの石風呂が見つけられるだろうと思う。

(2012年03月25日訪問)

復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし (味なたてもの探訪)

単行本(ソフトカバー) – 2020/12/2
栢木まどか (監修)
関東大震災後、現代の東京の骨格をつくった「帝都復興計画」と、未曾有の災害から人々が奮起し、建てられた「復興建築」を通して、近代東京の成り立ち、人々の暮らしをたどります。

amazon.co.jp