8月の暑い日。渓流でシュノーケリングでもして涼みがてら魚でも見ようとやってきた。向かったのは加茂谷川だったのだけど、そのあと松尾川温泉でも入って行こうと、井内谷へ分け入った。
井内谷は県西の山深い場所だけど、上流には井川スキー場があったり、日本棚田百選に選定されている下影の棚田があり、他の谷に比べれば少しは立ち入る用事のある場所だろう。(ただし、松尾川温泉へ行くのに通るのはどうかと思うが。)
急斜面の高地に家々が点在する、いわゆるソラの集落である。
その井内集落の少し下流で流れ橋を見つけた。
対岸の河原ヶ免という字に行くための橋だと思われるが、通学や日常生活に必要な橋という感じではない。対岸にも舗装道路があるし、この橋を利用して学校や商店に近道になるというのでもない。
手前側の住人が、対岸に畑を持っていて農作業に通うのに使う橋なのかもしれない。
橋は一枚板を渡しただけの一本橋。
ケーブルは右岸側に固定されている。
ところで、ここまでの写真で、眼力のある人は気付いたかもしれないが、この橋のうえに索道が渡してある。似たような物件を上勝町で紹介した。
こちらは単線式索道とでも言えばいいのか、曳索がない、主索のみの索道だ。
重量物を持ってこの橋を渡るときに、荷物を吊るのではないかと思われる。
山仕事で丸太を搬出するときの原始的な索道「トバシ」というものに近いが、一般にトバシ線は2点間の傾斜を利用して荷物の自重で運搬するものだ。
この索道は傾斜がなく、人力で押しながら両方向へ荷物を運べるもののようだ。ただし、主索は当然荷物の重さで中央が下がるから、最後はかなり押さなければ前に進まないだろう。
滑車は外せない構造になっていた。
(2008年08月03日訪問)