この日は、大山寺→青ノ洞門→和泉寺というふうに、上板町を観光していたのだが、その途中で「ベーハ小屋」を見かけて写真を撮った。
ただしこのとき私はこの建物のことをまだ「ベーハ小屋」という名前で認識していなかった。「ベーハ小屋」という言葉を私が初めて聞くのは5年後のことだからだ。徳島ではベーハ小屋のことを「乾燥室」と呼んでいるが、その言葉すら私はまだ知らなかった。
でもこの建物が葉タバコの生産に関係するものだということはなんとか知っていた。 1999年に岡山のほうを旅したときに気付いて調べたことがあったからだ。
でもそれ以来、この建物の写真を撮り溜めておくべきか、あまり考えたこともなかった。10年、20年も後になってみれば、あのときもっとたくさん写真を撮っておくべきだったと思うかもしれないが、それは後になったらわかることでしかない。
じゃあ、ミカン蔵とかタマネギ小屋とか潮待ち小屋なども漏らさず撮影していくべきなのか? そんな熱量を、2003年に持ち得たかというと、それは無理な話である。
2023年ごろにでもなれば、「ミカン蔵だ、撮らなきゃ!」という時代が来るかもしれないけれど。
とにかく、この2枚が私が徳島で初めて撮影したベーハ小屋である。
ところで、この日訪れた「大山寺→青ノ洞門→和泉寺」のうち「青ノ洞門ってなんだよ!」と思った方がいるかもしれないが、これが青ノ洞門である。
泉谷川の扇状地に用水を引くために掘られた手掘りの水路トンネルである。機会があれば、大山寺などと一緒に丁寧に紹介したいものだ。
宮ヶ谷川と泉谷川の扇状地にはおそらく10~20ヶ所程度のベーハ小屋が残っているだろうと思うが、紹介した2ヶ所はすでに取り壊されている。
(2003年10月26日訪問)