国道から広い棚田が見えたので行ってみた。
枚数、規模はかなりのもので、関東以北だったら平成棚田百選に選定されてもおかしくないくらいの棚田だった。平成棚田百選って農業遺産を選定しようという点では当時新しかったけれど、意識高い系棚田が選定される傾向があって、四国の山奥の棚田だらけの過疎地にはそうした企画力も体力も残ってなくて、高知県では1ヶ所しか選定されていない。
でも、以前にもちょっと触れたけれど、吉野川の上流地域には実際はかなりの数の棚田があり、棚田の密集地域といってもいい。
棚田の法面はほぼ石垣。
日本列島は西へいくほど石垣の棚田が多くなる。
これほどの石を積むのにいったい何百年かかったのか。人の営みの歴史の重みを感じずにはいられない。
これを見て近年の「棚田はSDGs」というような言い方は素直には受け入れられない。
ここで農業を続けるということは、都会人が当然のように享受している贅沢の多くを犠牲にた上で成り立っているからだ。これを今後も持続させるために、山に生きる人の人生を注ぎ込むことが良いことだと、私は簡単には言えないのだ。私が令和の棚田百選に対して鼻持ちならない感じに思えてしまう理由でもある。
現時点では休耕田はあまり目立たない。
きょうは家を出たときには曇りだったのが、高知県では雨模様になってしまった。
棚田の上のほうを見ると雨雲がかかっていた。
田んぼをよく見ると、所々に大岩が残っている。
まるで浄土庭園を見ているみたい。
見るぶんには美しいけれど、耕うん機の取り回しが厄介な田んぼといえるだろう。
徳島県民の視点だと、木沢の拝牛の棚田とよく似ている。
美しい白壁の納屋と石段。
自分の農地へ行くのにもこうして石段を登り降りしなければならないのが棚田なのだ。
(2007年03月11日訪問)