勝浦川・源流

アメゴと一緒に泳げる淵がある。

(徳島県上勝町生実雄中面)

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以前から目をつけていた木沢の大轟の滝で泳ごうかと思って出かけていったら、台風の被害で滝つぼが埋まってしまっていた。

そのあと、他に泳げそうな場所がないかと剣山スーパー林道を走ってみた。

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土須峠から勝浦川の源流部に下っていくと、、、

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砂防堰堤の滝つぼにちょうどよい感じの場所を発見。

しかも、車を駐車できる場所から平坦な道を50mも歩かずに淵まで行けるという好立地。藪漕ぎしたり木の根にしがみついて崖を下りるというような面倒がないのがいい。

きょうは誰もいないけれど、テントを張れるような場所もあるからここでキャンプする人っているんじゃないかな。

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砂防堰堤の削れかたを見ると、この沢が大雨のたびに激しい侵食に晒されていることが想像できる。なのでいつ来ても深い淵があるのかはわからないが、このあと何年かはこんな様子だった。

滝つぼは深く、足は立たないけれど泳げるほどの広さあって水浴びには最高の条件。

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私は川に入るときは、沢登り用の簡易セパレートスーツかちゃんとしたウエットスーツを着用するけれど、水温はそれほど低くないから水着だけで入っても大丈夫だと思う。

下流側は大きな石で塞がれていて流れも穏やかなので、誤って流されることもなさそう。

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堰堤にはひび割れて水がにじみ出ている場所がある。ここにはカラスアゲハがしきりに吸水にきていた。

コンクリートのカルシウム分を求めているのか、蝶が吸水に訪れる場所って条件があるような気がする。

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水面にはミヤマカワトンボ♂。

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こちらもミヤマカワトンボ♀。

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ニホントカゲが日光浴。

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水面をじっと見てみると、いるね、魚が。

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たぶんアメゴだ。一般的にはアマゴかな、四国ではアマゴのことをアメゴと呼ぶ。

自然のアメゴなのか、漁協が放流しているものなのかは知らない。勝浦川上流は砂防堰堤が連続しているから、一度下流に流された魚が上流に戻ることはできない。でも大水で魚が根こそぎ流されることなどなどなくて、実は自然に世代交代しているのかも知れないし、実際のところよくわからない。

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緩やかなところから水に入ってみよう。

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まるで宝石のような水の輝き。

この場所から上流には1軒の人家もない源流部なのだ。

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ゆっくりと水面下を見ると、魚影は少ない。小魚がいっぱい泳いでいた下流部とはかなり様相が違う。

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魚だけではない。

水生昆虫も下流とは違うのだ。

トビゲラの巣。ここに引っかかった有機物を食べている。クモの巣みたいだが、かなり強靭な糸で出来ている。水中でこんな糸を作るのってどうやるんだろう。

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トビゲラの幼虫かな。

小石を鎧のようにまとっている。

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ヨシノボリがいた。

こんな魚を漁協が放流することはないから、砂防堰堤で封じられた区間で繁殖しつづけているのだろう。

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淵から流れ出ている流れのある場所に入ってみるとアメゴがたくさん泳いでる。

というか、ここでは魚というとアメゴくらいしか見当たらないのだ。

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アメゴはサケの仲間で、サツキマスが海にくだらず、一生淡水で暮らすようになった魚だ。

東日本では近種のヤマメがいる。西日本がアマゴで、身体の側面の朱色の点が目立つのがヤマメとの違い。

渓流の女王とも言われる釣り対象魚。個人的な意見だけれど、川の魚では一番美味いんじゃないかな。

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幼魚。

虹色が美しい。

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川の流れに逆らって力強く泳いでいる姿は生命力に満ちあふれている。

この淵は水浴びもさることながら、アメゴを観察するのにもってこいの場所だと思う。

(2007年08月13日訪問)

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細谷 和海 (著), 藤田 朝彦 (その他), 武内 啓明 (その他), & 2 その他
初版に比べて新しく定着が確認された「外来種」、 琉球列島の淡水魚を中心に17種類を追加して計315種類を掲載。

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