川田川の上流を目指す。県道250号線を外れて
道は川田側の右岸を通り、離合も困難な狭い舗装路になる。
車道が右岸を通っている区間では対岸に山家が何ヶ所かある。
このような場所では車道側に車庫があって、そこから徒歩で谷を降りて、ふたたび山を登って自宅に行かなければならない。重い荷物は索道で運ぶ。
車庫から細い道を降りたところに私設の橋がある。
幅が狭いため手押しのクローラー付き動力車は通過できそうにない。
家はこの細い山道を登った先にあるのだ。
この道を肥料とかビールの箱などの重い荷物を持って登ったり、あるいは農産物や林産物などを出荷するのも大変だ。
そのため道路と家の間に索道を造ったのだろう。
索道の山麓駅。主索は1本で、搬器に結束している曳索も1本。つまり1台の搬器が主索の上を言ったり来たりする。こうした索道を「複線往復式」という。
家側の標高が高いため、主索は傾斜している。当然、曳索を引くウインチは山頂駅側にある。
搬器の滑車をよく見ると片側が開いた造りになっている。この造りだと脱索する可能性があるが、こうなっているのには理由がある。それは山頂側で滑車が吊り金具の上を通過するからだ。
山頂側の支柱に吊り金具があり、主索は屈折している。ここを通過するために搬器の滑車の片側が開いているのだ。
奥に対岸の車庫が見えている。
2002年にこの索道を知ってから、2007, 2008, 2010年にも訪ねているのだが残念ながらいつも留守で話は聞けていない。畑はきれいにしてあるから住んでいるとは思うのだが・・・。
搬器近影。
前回見たときにはなかった荷物を固定する枠が増設されている。支索の傾斜で貨物が転げないように工夫したのだろう。
曳索を引くウインチは90度曲がった位置に設置されていた。
支柱は丸太だ。これらは重機を使わずにすべて人力だけで設置したのだろう。重機が橋を通過できないからだ。
山仕事ではこうした架線を人力だけで張ることができるのだ。すごい技術だと思う。
(2002年11月10日訪問)