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阿波國すきま漫遊記 第9話 野猿と索道

野猿と呼ばれる人を乗せるロープウェイ式の駕籠や、急傾斜集落で荷物を運ぶための索道などを紹介する。

広域地図

河川で橋が架けられない場所では、下流部ならば渡船、中流部ならば沈下橋や流れ橋を利用するが、山間地では人間や荷物を運ぶ野猿(やえん)と呼ばれる施設が造られた。野猿は谷にケーブルを渡して駕籠を吊り下げたロープウェイのような乗物だ。旅好きの人ならば奈良県十津川村の観光野猿や、岩手県厳美渓の郭公(かっこう)だんごを思い浮かべるかもしれない。

徳島では祖谷に観光野猿があり、その他に公園の遊具としての野猿もある。

でも現在、生活のために実用として使われている野猿は全国を探しても残っていないだろうと思う。かつて那賀川にペダルで漕ぐ方式の野猿があったといい、それはぜひ見てみたかった。

現在もし野猿に近いものを探そうとすれば索道がある。索道は林業で伐採した材木を山から出すために使われたり、鉱山で鉱石を運んだり、ダムの工事現場でも使われたりもする。だが徳島では個人の家で日用品を運び入れたり、農作物を搬出するために設置した索道を見つけることができる。そうした索道は本来は貨物用だが、川が増水して渡れなくなったときには索道の駕籠に人間が乗って川を渡ったこともあった。実際に乗ったという話を複数の人から聞いことがある。

この章では徳島県の野猿と索道を紹介してゆく。それに加えて、野猿と索道と同じ日に見たものについてもあわせて紹介しよう。

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