河川で橋が架けられない場所では、下流部ならば渡船、中流部ならば沈下橋や流れ橋を利用するが、山間地では人間や荷物を運ぶ
徳島では祖谷に観光野猿があり、その他に公園の遊具としての野猿もある。
でも現在、生活のために実用として使われている野猿は全国を探しても残っていないだろうと思う。かつて那賀川にペダルで漕ぐ方式の野猿があったといい、それはぜひ見てみたかった。
現在もし野猿に近いものを探そうとすれば索道がある。索道は林業で伐採した材木を山から出すために使われたり、ダムの工事現場でも使われたりもする。かつては鉱山で鉱石を運んだ時代もある。だが徳島では個人の家で日用品を運び入れたり、農作物を搬出するために設置した索道を見つけることができる。そうした索道は本来は荷物用だが、川が増水して渡れなくなったときには索道の搬器に人間が乗って川を渡ったこともあった。実際に乗ったという話を複数の人から聞いことがある。
この章では徳島県の野猿と索道を紹介してゆく。索道を積極的に探したわけではなく、他の場所へ向かう途中で見かけたものをたまたま写真に撮っただけなので件数はわずかである。なので野猿と索道と同じ日に見たものについてもあわせて紹介しよう。