九十九川水門

越辺川からの逆流を防ぐための水門。

(埼玉県東松山市正代)

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九十九(つくも)川の合流地に来ている。

九十九川は越辺(おっぺ)川の支流で、上流は岩殿観音の前を流れる里山の沢。九十九川の名は弘法大師が布教の拠点を定めるため全国で百の谷がある場所を探していたとき、岩殿観音付近に谷が九十九しかなかったことを嘆いたことに由来するという。

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越辺川との合流地には水門がある。2011年に竣工したまだ新しい水門だ。

写真奥側が上流方向になる。

水門の前後の堤防の高さを見てみると、奥側のほうが低くなっていることが見てとれる。つまりこの水門は越辺川が増水したときに九十九川への逆流を防ぐためのものだ。

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じゃあ大雨のときに水門を閉じたら九十九川の水はどうなるかというと、排水はまったくできなくなる。排水機場がないのだ。

それで良いはずがないのだが九十九川は上流域も広くないし、逆流で氾濫するよりはマシという苦肉の策なのだろう。

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実際、2019年の台風19号では水門の上流側の堤防が決壊した。

写真右側の法面に草がない場所がそうだ。

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応急的に堤防の復旧と堤防上の舗装がされているが、増水したらまたここが切れるんだろうな・・・。

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なお、排水機場建設計画もあるようだ。

九十九川からの排水のために合流点の股側に排水機場を建設し南側へ排水することを基本とし、すでに越辺川も満杯で排水できないときは股側に越流させる越流堤と調整池を造るというもの。

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水門を下流から見たところ。

菜の花や桜の咲く美しい季節。

でもこの地区は台風19号で都幾川側の堤防も決壊していて、至るところに爪痕を感じさせるのでのどかな空気は感じられない。被災地に来てるって感じだ。

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水門上の道路。

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水門の上流側。

ふだんは水量も少なく穏やかな川だ。

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上流側から川面まで下りてみた。

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床止め工の上で大きな雷魚が遡上しようとしてのたうっていた。

(2023年03月24日訪問)