古河原堂

氾濫平野の微高地にある共同墓地。

(埼玉県東松山市神戸)

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神戸の氾濫平野に島のようにぽつんと残された共同墓地。名前を「古河原共同墓地」というようだ。古河原というように、過去にこのあたりを都幾川が流れた記憶を伝える地名だ。

土地改良され四角くなった水田の中にあって不定形な形を生じさせているためトラクターの切り回しが面倒なことになっている。現在、墓地の敷地はくっきりとした台形だが土地改良前は、田んぼの真ん中のぼんやりした楕円形の微高地だったようだ。

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墓地にはお堂がある。

名前は古河原堂。

背後に無縫塔(僧職の墓石)もあるので、過去に住職のいるお寺だったこともあったのかもしれない。

側面に井戸があり閼伽井屋も兼ねている。

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現在のお堂は昭和49年(1974)に55名の寄付によって建立されたもの。

右側の戸のある部屋には霊柩車でもあるかと思って覗いてみたが休憩室になっているだけだった。

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お堂の内部。

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本尊は阿弥陀如来。厨子の中に柱や斗栱がある面白い造り。唇には紅がさしてある。

右側の石仏は大日如来かな。台座に「父母菩提為也」と彫られている。

左側の台座には「光明真言講中 海山代」と彫られている。仏像は盗難されたとのこと。

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墓地の墓石はおおむね新しい。

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古い墓石はお堂の北側に集められている。

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夫婦の墓などの古い墓石。

青石の墓石には「□海山法士」の文字が。盗難された仏像の奉納と関係のある墓か。

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小さなものは青石の自然石の墓石が多い。

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六地蔵宝幢があった。

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彫られている地蔵菩薩はかなり素朴。

元禄という文字が読める。

(2025年10月23日訪問)